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□バレンタイン☆kiss
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2月に入って少し経つとやってくる甘ーい日なーんだ。
……なぞなぞにもなってない
まぁ、うん、
答えはバレンタインなんだけど、、
恋する女の子とモテる男もためにあるこのイベントには彼女いない歴=年齢の俺は去年まで全くといっていいほど関わっていなかった。
そう、去年までは。




−−−
「ねぇ、ゆーちゃん、今年も誰にもチョコあげないの??」
「ぐふッ、ゲホッゲホッ」

そうお袋が言い出したのは飲み会に行っている親父を除いた3人で夕食を食べている時。
…いきなり何を言い出すかと思えば。
ご飯で噎せたじゃん。

「な、なんで俺が……」
「ゆーちゃん!!そうなのか?!」
俺の言葉を遮ったのは隣で食べていた勝利。
「うぇっ、汚いなぁ、、」
箸を握りしめて口からご飯粒を飛ばす様子はとてもじゃないけど、都知事兼地球の魔王を目指している奴には見えない。

「…動揺してる。ゆーちゃんが動揺してる!!!」
「してない!!お袋が変な事言ったから……」
「お袋じゃないでしょ!!ゆーちゃん。ママって呼びなさい!!」
「まっ、まさか本当にあげようと思ってる奴がいるのか!!誰だ!!あのロン毛の仏頂面か!!ツンデレな我が儘ポメラニアンか!!それともあの胡散臭い名付け親か!!いやっ、駄目だ!!アイツだけは駄目だぞ!!!お兄ちゃん許しましぇーん!!」
俺といい勝負のトルコ行進曲を披露する姿は改めて血の関わりを感じるほどの物だ。
「なっ…」
なんでコンラッドは駄目なんだよ!!
と言おうとしたが冷静になりグッと堪える。
危ない所だった…
「ま、とにかく誰にも作らないから!!俺男だもん。」
フンッと顔を背ければ目の端にえーっと言うお袋と複雑そうな顔をする勝利が映った。

「ゆーちゃんのチョコほしいな……、、」

……。

その呟きをスルーしてふぅと1つため息をする。
バレンタインか…。

コンラッド、あげたら喜ぶかな…、、
「ゆーちゃんっ。作りたくなったらいつでもママに言ってねっ。」
ギクッ
「だっ、だから作らないって、、それよりさっテレビのチャンネル変えていい?」
「まぁた、野球か。」




−−−
今日は学校が昼までだったからいつもより帰りがちょっと早い。
「ただいまー。」

…シーン
ありゃ、
お袋、買い物にでも行ったのかな……
靴を脱ぎキョロキョロしながらリビングに向かう。
しかしやはり誰もいない。
「んっ!?」
目にとまったのは食卓の上に無造作に置かれた板チョコの小さな山。
昨日の晩御飯の時の事を思い出した。

コンラッドにチョコ……

『コンラッド、はいっ、あげる。』
『なんですか??これ。』
『チョコレート。今日、バレンタインなんだ。』
『ありがとう、有利。』

コンラッドのとろけそうに甘い笑顔が頭を過る。
「つ、作ろうかな…チョコ。」
「ゆーちゃん!!作る気になってくれたのー!?」
「わっ!!えっ、お袋!?」
突然背後から声がして振り向く。
なんでいんの!?
お袋の更に後ろではさっきまで閉まってたはずのドアが半開きになっていた。
そこから出てきたらしい。
は…はめられた、、
まったく、たちが悪い。
「ママ、娘がいたら一緒にバレンタインのお菓子作りするのが夢だったのよー!!」
しかめっ面の俺にたいして本人は超笑顔。
怒る気もなくなる。
でも、ちょっと待て!
なんか間違ってる!
「俺は息子!」
「いーじゃない!ほらっ、今逆チョコもあることだしっ。」
ねっ?ねっ?と言われると元々作ろうとしていたのもあり、いいかなと思ってしまう。

「……わかった。」
「やったぁ!!じゃあ、今日 晩ごはん終わったら作りましょうね。」
「今日つくんの!?」
「当たり前じゃない。バレンタインは明日でしょ。ママも馬ちゃんに作らないとー!あっ、もちろんゆーちゃんとしょーちゃんにもあげるからね。」
「ははは…」
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