夢の中で


□1話 報告
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 暗部の任務が終わって、返却日がとうに過ぎた本を図書館に返しに行った。嫌な顔をされたが、そんなん知ったこっちゃない。
 普通は、さっさと次の本を選んでカウンターに並ぶが、今日は違った。
 (あれ? あの子)
 自分と同じくらいの女の子で、腰まで届く綺麗な黒髪と黒目を持っていて、分厚い本を眺めていた。
 どれくらい眺めていただろうか。
 気づいたら、立ち止まっているオレの前を黒縁メガネをかけたスーツ姿の女性が通り過ぎ、その子に自分の腕時計を見せながら小声で叱った。
 ウザったそうに立ち上がった子と視線が合った。その子は口端を吊り上げて言った。
「バカカシ」
「…!!」
 (妙に見覚えがある顔だと思ったら…)
「どうしたんですか? カカシ先輩」
 後輩のテンゾウが、近づいてきた。
「テンゾウ。今すぐ火影様の所に行って報告しろ」
「は?」
「総隊長が戻って来たんだ!」


 彼女は、失踪したはずの暗部総隊長だった。

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