夢の中で


□4話 土産を持って
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「三代目」
「なんじゃ?」
「これ、ツアーついでに買ってきた各地の土産です。木の葉丸くんと一緒にどうぞ」
 土産が入った紙袋を、渡す。
「おお! これは最高級の、しかも限定物の羊羹!」
「…3代目。目が輝きすぎです」
 そう言って、さっさと火影室を退室した。
「よ、テンゾウ」
 暗部待機所に顔を出して、テンゾウに紙袋を渡した。
「久しぶりです。姉さん」
「姉さんじゃねーって。お前の分の土産やらねーぞ」
「わー、カンベンしてください」(棒読み)
「…アイツの動きは?」
「今のところ異常なしです」
「そうか」
 この会話の中での『アイツ』とは、大蛇丸を指す。
「で。お前が尊敬している先輩は、任務か?」
 テンゾウが、首を横に振った。
「暗部を辞めて、上忍に戻られました」
「ふーん…わかった」
 両手を紙袋でふさがれたまま足でドアを閉め、そのまま女暗部待機所へ行った。
「うぃーすっ。あー、重っ」
 好意的な元・先輩後輩と同僚は、歓んで袋の中の物品をもらっていたが、敵意むきだしの輩達は、ガン見してそっぽ向いた。
「ホントは欲しいんじゃねーの?」
 わざとらしくニヤニヤして、こっちから挑発する。
「欲しくないわよ、そんな物!」
「てゆーか、何そのイルカの置物」
「え? かわいいじゃないですか、先輩」
 と反論する元・後輩。
「これ超レアものなんだよ?」
「うわ。知らねーとか、どんだけ知識ないんだ?」
 どんどん表情が醜くなる元・同僚が、これまた醜い金切り声で反論した。お前らは、サルか。
「ふん! なにさ。美人ってだけでチヤホヤされてさ」
「今すぐ屍にしたいよね」
 耳に障るような声を聞きたくなくて、あざ笑った。
「殺れるもんなら殺ってみな。ま、できねーだろうけどな」
 鼻で笑ってから、足下に置いた他の紙袋を持って古巣を出た。


 誰から土産を渡そうかと迷っていると、タバコをふかしているアスマが少し遠くにいた。
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