夢の中で


□プロローグ
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(…きれいだ)
(…え?)
 誰かが、恋鳥の翼を見て言う。
 これを封印されたから周りにいる大人達は、『この子に触ったら死ぬ』とありもしないウワサを流した。
 だから、これを見て怖がらずに『きれいだ』と言ってくれたのが嬉しかった。そして、幼い時に『この子のお嫁さんになろう』と決めた。
 ぼんやりとして顔が見えないその子の嫁に…


「…またあの夢か…。おはよう。夢の中の男の子」
 朝起きたら、一番先にそう言うのが日課になっているし、今でもその子に会えたらと思う。あの時は3才で、あの子も同い年と母上から聞いていた。
「おはようございます」
「おはよう。静香」
 さて今日は、2年かけて行ったツアー最終日。各地を巡って、気持ちを、想いを歌にのせて届ける。
 それが、もう一つのオレの仕事。つまり歌手だ。
「今日中に木の葉に帰れるか?」
「はい。もちろんです」
 マネージャーの答えに満足してから、キングサイズのベッドから跳ね起きる。
「よっしゃ、今日も快調! バンバン歌うぞー!」


 いつか、キミに再会できたらいいな。

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