夢の中で (短編)
□気に入られるためには?
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「今日も疲れたな〜っと…んー?」
Bランク任務の報告書を書き終えて帰路につこうとした時、私服姿の桜花がアカデミーの方面に走って行くのが遠くから見えて、辺りを見回すがマスコミやパパラッチの姿は見えなかった。
気配を消して尾けると、アカデミーの門の前で立ち止まりイルカと楽しそうに話していた。
(イルカのヤツ、オレの桜花と話してくれちゃって…他の虫が近づかないようにしなくちゃね)
「サスケー。ナルトー。迎えに来たぞー」
だが、イタチの弟は彼女を通り越して一人で帰ろうとした。
「サスケ!」
「一人で帰れる。ついてくんな! いてっ」
桜花がデコピンした場所を押さえて、サスケは彼女を睨みつける。
「雨が降りそうだから傘持って来てやったのに、その態度はなんなのかな?」
「…なんでもねーよ」
『雨』という単語を聞いて、名案が浮かんだ。
「あれ?ナルトは?」
サスケが、落書きされた火影岩を指した。
「…あっちゃ〜…またか」
桜花が自分の額をぴしゃりと叩いて、すぐに持っている紺の傘をサスケに渡した。
「気をつけて帰れよ」
「フン」
乱暴だが、彼が受け取った後の桜花の微笑みに見とれる自分がいた。
(うわ。あんな風に微笑むの!? 反則だろ、それ!!)
などと思いつつ木陰からガン見するオレは、頭上を覆う雨雲を見ながら子犬に変化したが、なかなか来ない。
待っているうちに、雨が小降りからどしゃ降りになって、さすがにオレも寒さのあまり身を丸くするしかなかった。
「あれ?」
声が聞こえて、顔をあげると―