夢の中で (短編)

□紙片
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「桜花先生。どうしたんですか?」
「別に」
 そう答えるが、内心すごく動揺していた。紙片の内容は、少なくともオレが驚くに値する情報だった。
『生き残り三人。桜の国、復興しつつある』
 (生き残りなんて、居るわけない)
 そう結論づけて、今まで必死に生き延びてきた。なのに…
「…どうして…」
 胸がきりきりと痛む。


 なぜ、あの国を復興させようとする!?復興させ、一族が増えるなら、また他国の忍び達に狙われるじゃないか。
 誰だよ?復興させてるヤツは!バカじゃねーの?


 様々な感情が入り組んで、どうしていいのか分からない。
「桜花先生!」
「桜花姉ちゃん!」
「桜花!」
 小さな忍びの悲鳴に近い声によって、我に返った。唇が地味に痛い。
「ああ…噛んでたのか」
 舌で下唇を舐めれば、鉄の味がした。部下3人と上忍1人の顔がたちまち真っ赤に染まっていく。
「…どうした?熱でもあるのか?」
 問いかければ、そろって首を横に勢いよく振る4人。
 木の葉に帰り着くまで彼らの反応の意味が分からなくて、頭の中には疑問符が大量生産された。
 

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