未来のために
□プロローグ
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銃声が室内に響いて鈍痛が胸に走り、隊長が僕の額に照準を合わせる。
(やめて、早乙女さん! 京ちゃんを撃たないで!!)
声が聞こえて、目の前に小柄な少女の幻が見えた。手を広げて、僕を守ろうとしている。見えるのは自分だけかと思ったが違うらしい。その証拠に、隊長が狼狽している。
「…千鳥?」
小さい声で言った後、引き金が引かれた。
(…っ!!)
弾丸は幻の胴体を通過して、額に叩き込まれた。
(ああ…この体は実体じゃないんだ)
そう彼女が言ったのがかろうじて聞こえ、撃たれたショックで複数の超能力を得て、隊長を殺した後、何度も部屋を見回したが泣き声を漏らす幼なじみの幻は消えていた。
「千鳥!! どこにいるんだ!?」
答えは、なかった。