未来のために
□1話 予知改変
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会議室は、異様な沈黙に包まれていた。
「集まってもらったのは他でもないわ。予知が変わったの」
ここに居る面々は、トップシークレットである懸案事項666条の内容を知っている面々である僕。賢木。管理官。兵部京介も居た。
「なぜ、お前がここにいるんだ!」
「私が呼んだのよ。説明させるためにね」
イスから浮かせた腰を、どうにかそこに落ち着けてから尋ねた。
「どう変わったんだ?」
「まずは、これを見ろ」
すると、電気が消され、真っ暗になった部屋にホログラムが現れた。
映し出されたのは、未来の薫と変わらないくらいの女性が、薫に背を向けて立っている。
黒い長髪で、顔が見えないが体つきから女性だと判断する。
音声も不鮮明でよく聞き取れないが、薫と僕に説得しているようだった。
未来の僕がブラスターをヘリポートの地面に落としていることから、撃たずに済んだのだろう。そして、未来の薫と僕の制止も聞かずにその女性は、どこかへ飛び去ってしまった。
「ここで映像は終わっている」
兵部を見ると、苦しそうな表情をしていた。
「管理官。この子は、いったい誰なんです?」
「知らないわ。この面々で知っているのは、京介だけよ。説明しなさい」
兵部は、ため息をついて話し始めた。
「この子の名前は、佐倉千鳥。僕と不二子さんと同じ戦前生まれで、普通に生きていれば80才になる」
彼の淡々とした説明に管理官が、声にならない声をあげた。
「…うそよ」
兵部は、その声が聞こえていないかのように説明を続ける。
「この子には、バベルもパンドラも関係ない」
その意見にうなずくしか、今はどうしようもなかった。