未来のために

□5話 小さな手
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「京介ー!!」
「京ちゃん!!」
 桃太郎の攻撃をまともにくらっているのを見ているだけの自分が嫌になってくる。
「…大丈夫よ、クイーン、プリンセス。少佐なら心配いらないわ」
「でも、このままじゃ京介が!!」
「京ちゃんが死んじゃうよ!!」
 マッスルが、困ったような笑顔を浮かべた。
「もうそろそろ飽きて怒る頃だから」
『へ?』
 異口同音に言って京介のほうを向くと、桃太郎の攻撃をサイコキネシスでガードして、
「しまいに殺すぞ、コラ!!」
 そう怒鳴って、桃太郎の耳を引っぱってキレていた。
「昔のことでグチグチと!! いつまで怒ってんだ、ああっ!? だいたい殺す相手が違うだろーが!! 下等動物がー!!」
 しまいには桃太郎を蹴って、指を噛まれた京介は桃太郎のシッポを噛んで、闘いは膠着状態になった。
「少佐! もうよろしいんじゃなくて? いちおう気持ちは通じたみたいじゃない! そろそろ面倒なのが来そうよ。この子たちのお友達連中が」
「ほーはな、ひひはへふは」(そーだな、引き上げるか)
 その時、皆本の声がした。
「そういうわけにはいかない!!」
「皆本!? …千鳥?」
 かすかに震える声がするほうを向くと、千鳥がつぶやくのが聞こえた。
「や…めて…」
「千鳥!?」
「う…うぁあああ!!」
 漆黒の瞳が恐怖におびえ、千鳥は銃を構える皆本と桃太郎のシッポを口から放した京介の間に割って入った。
「…あ!」
 気がつくと、あたし、葵、紫穂、初音にかけられたマッスルの能力が解けていた。


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