未来のために (短編)
□感想
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「任務、おーわりっ!!」
千鳥が軽く伸びをして、任務の疲れを取る。眼下では、エンプレスがハエを液体洗剤で溺死させていた。
「外の空気でも吸うかい?」
「うん!」
テレポートで大学の屋上へ行くと、千鳥が感嘆の声をあげて周辺の風景を見渡す。
「おお〜っ。きれ〜」
「そうかい?」
同じ風景を見るが、きれいだとは思わない。
いずれ、僕たちパンドラが支配する。
そう確信しているから、この世界が汚く思えてしょうがない。
この世界には、ノーマルがはびこりすぎている。それが不快だ。
「京ちゃん」
「なんだい?」
暗い思考から現実に戻したのは、戦争のためにエスパーにされた肉親のような存在だった。
「…なに考えてたの?」
「なんでもないよ」
ごまかすように微笑むと、それ以上は追及しないで『あっそ』とだけ言われた。
「…どうだった? 初任務は」
「ん? んーと…」
少し考えこんでから、答えた。
「不安と緊張があって、達成感が湧いてきたよ」
そのまぶしい笑顔を見て、自分が信じていた昔の上司の顔が一瞬だけ脳裏に思い浮かんだ。
あの時は、戦争中で訓練と強化に明け暮れて楽しかった。
「…そうか」
ぽん。と何にも代えがたい千鳥という存在の頭を、昔と同じように優しく叩いて姿を消した。
≪感想は…昔の僕と同じ意見だった≫