夢の中で (短編)

□気になるアイツは?
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「カカシとの関係は?」
 鼻息を荒くして聞いてきた上忍に、身の危険を感じながらも淡々と答えた。
「元・上司と部下」
「え?どっちが上司?」
 オレが小さく手を上げるのと、カカシが指をさすのは同時だった。
「なに!? その息のあった動作!!」
「暗部の時には、何回もコンビ組んだか〜らネ」
「…おい、なんだよ?この手は」
 同じ座った体勢で少し背の低いオレの頭には、カカシの手があった。そのまま『ぽふぽふ』と叩かれる。
「んー?今度は、オレが上司になって桜花をかわいがってやろーかな?なんてね」
『はぁっ!?』
 オレの周りを囲んでいる男たちとハモってしまうくらい、カカシの言葉に驚いた。
「お、お前なんかにかわいがられるつもりなんかねーよ!頭から手ぇ離せ!」
「やだ」
 ニコニコしているカカシがとった次の行動に、頭がついていかなかった。


ちゅっ


「……」
 (今の音は、前にも聞いたことがあるような? いやいやいや。気のせいだと思いたい。絶対に)
「カカシ…お前、なにしたんだ?」
 自分の口から出た疑問に、カカシはさっきの本をポーチにしまってから答えた。
「デコチューだよ?あ、この前の田楽と耳チューうまかった〜よ。またさせてネ?」
『…「また」?』
 呆然としていた男たちの瞳が、異様に不気味に輝くのを見て身震いした。
「ちょっ!待ちやがれコノヤロー!フルボッコにしてやるーっ!」
 持ち前の立ち直りの早さと勇気を総動員して、待機所のドアの向こうに消えていったアイツの背を追いかけた。


《気になるアイツは、キス魔》
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