真選組と私 〜土方十四郎〜
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朝香は、声にならない悲鳴をあげてその場にしゃがみ込んだ。
その目の前には同じくいきなりのことで驚いて声が出ずに固まっている腰にタオルを巻いただけの土方がいた。
『お、お前、何でここにいんだ!!!札掛かってなかったぞ!!』
そう、真選組には大浴場が一つしかないため、朝香が入っている時は入口に札を掛けるように決めているのだ。
「え?!ウソ!私掛け忘れた?!」
二人は突然のことで混乱していると、外からガヤガヤと他の隊士たちの声がこちらに近づいてきた。
『やばい、他の奴らが来たぞ!』
「え、どうしよう!」
朝香はタオルを持っておらず身を隠す物など何もない。
しゃがんだまま慌てている間にどんどんこちらに来る隊士たちの声が大きくなる。
土方は慌てて走って
『朝香!目を瞑れ!とりあえずこのタオルで身体隠せ!』
と自分の腰に巻いてあるタオルを外して朝香に渡そうとしたその瞬間…
つるっ!!
『うわっ!!!』
ばったーーーんっ!!ガラガラッ
総悟『土方、テメェ何してんだコノヤロー!!!』
山崎他隊士ら『副長が朝香さんを襲ってるぞォォォ!!!!!!!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
土方『……って言うわけだ。俺は決して襲ってなんかいねぇ!』
「そうです。私が札を掛け忘れました。」
総悟『朝香、コイツのことなんざ庇わねェでいいんですぜ。正直に言いなせェ』
山崎『そうですよ、朝香さん。副長、あの時タオル外してましたよね。それって完全にヤろうと…』
『違ェェェェ!!!アレは朝香が身体を隠す物を持ってなかったから、テメェらに見せるわけにはいかねぇと思って!咄嗟の判断で俺のをだな!!』
「ほんっとごめんなさい!!本当に土方さんは何もしてないんで!!!安心してみんな!!」
なんと土方は直前で足を滑らせて全裸で朝香の上に覆い被さるように倒れていたのだ。
その現場を見れば誰だって彼女が襲われていると思うだろう。
必死に二人で事情を話してなんとか誤解は解けたのであった。
総悟『それじゃ、土方の朝香を襲おうとした罪は晴れやした。だが、まだ最も重要なことが残ってやす。』
『あぁ?何だよまだ何かあんのかよ』