銀魂 短編

□テキーラサンセット
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『あーあ、今日も退屈でさァ』

何か面白いことでも起きないかと考えながら気怠そうに大きなあくびをする男。

夜のかぶき町を見回りという程で散歩しているといきなり角から女が飛び出してきた。

ドンッ!

「うわっ!ご、ごめんなさい!」

『ちゃんと前見なきゃダメですぜィ』

そっちからぶつかってきたのに尻もちをついているので手を差し伸べてやると女が泣いているのが見えた。

『そんな痛かったか?』

「え、あ、痛くないです」

『じゃあ泣いてるのは別件ですかィ?』

そう言って女を立ち上がらせる。

「そうです。別件です。」

『話くらいなら聞きやすぜ。暇だし。』

「そんな…大したことじゃないですよ」

『ぶつかったのも何かの縁だろィ?ほら、行きやすぜ』

再び女の手を引っ張って町を歩き出す。

「あっ…どこ行くんですか?」

『うーん、わかんね』

「うふふ…何それ」

『よかった、笑いやしたね』

「…飲みに行きたいです」

『酒ですかィ?』

「はい、飲みたい気分です」

『仕方ないですねィ、付き合ってやりやすぜ』

近くの飲み屋に入り適当に酒とつまみを頼む。

「そういえばあなたのその服、真選組の人?」

『そうですぜ、沖田総悟でさァ。』

「私は朝香です。沖田さんいいんですか?今仕事中じゃ…」

『あー仕事なら大丈夫ですぜ。朝香ね。』

「なら、良かったです。」

暫く飲みながら他愛もない話をして、ほろ酔いになった頃気になっていたことを聞いた。

『ところでさっき何で泣いてたんで?』

「あぁ…フラれたの。好きな人に。」

『ふーん、美人なのにな』

「美人、かぁ…彼、私より綺麗な人たちにいつも囲まれてるから…」

『随分なモテ男なんですねィ。羨ましいですぜ。こちとら毎日むさ苦しい野郎どもと過ごしてんだから』

「そう、彼モテるのよ。でも、私、少しは彼の目に自分が写ってると思ってたの…でも実際は全然そんなことなくて、はっきりとフラれちゃった…自惚れてたのよね…」

切なそうに笑う女の横顔から何故か目が離せなかった。

『じゃあ今日はとことん付き合いやすぜ。ほら、飲みなせェ』

そう言って女に酌をする。

「本当?私、強いわよ?」

『構いやせんぜ』

二人で乾杯し一気に飲み干す。

その後は女を振った男の愚痴や俺のうざい上司の愚痴を話しながら楽しく飲んだ。
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