真選組と私 〜土方十四郎〜

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ーー 2月14日午前1時。

深夜の真選組屯所内は静まり返っていた。
そんな中朝香は一人食堂にいた。

台所の上には薄力粉、バター、砂糖、卵などクッキーを作るのに必要な材料が並べられていた。

「よしっ、今年も頑張って作るぞー!」

朝香はエプロンの紐をきゅっと縛って気合いを入れた。

早朝稽古などで早く起きる隊士たちが来るのは6時。タイムリミットは後5時間。
それまでに隊士たちに配るクッキーを作り、ラッピングを終える必要がある。
人数が多いので一人一枚、ラッピングも袋に入れてラッピングタイでねじるだけと簡単ではあるが、それら全てを一人でこなすのは結構大変である。

「(みんなにクッキー作るのもう何年目だろ…さすがに慣れて手際良くなってきたなぁ)」

そんなことを思いながらせっせと生地を捏ねて伸ばし、ハートに型を抜いていく。その動きには無駄がない。
幸い食堂のオーブンは業務用の大きい物なので一気に焼くことが出来て助かっている。

「…できた!後はラッピング…とその前に…」

今年はもう一品。
特別なモノを作る予定なのだ。

「土方さん…受け取ってくれるといいな…」

そう呟いてビターチョコレートとナッツを使ったトリュフチョコを作った。

土方があまり甘い物が得意ではないことは知っているためビターチョコレートとナッツを使って甘さ控えめにしたが、いらないと断られるかもしれないと少し不安であった。

特別なチョコも出来上がり、冷蔵庫に入れた頃には4時半になっていた。

「やばっ、後1時間半しかない!急がないと!」

慌ててクッキーのラッピングをして、最後にトリュフチョコをピンクの箱に詰めてリボンを巻いた。

「今は…5時50分。なんとか間に合った!よかった〜」

外は薄く明るさを帯びはじめていた。
ラッピングしたクッキーたちを籠に入れて
"ハッピーバレンタイン みんないつもありがとう。食べてね"
とメッセージを残して食堂を後にした。


ーー午前6時過ぎ。

隊士1『お!!今年も朝香さんからの手作りクッキーあったぞ!』

隊士2『ホントだ!コレ美味いし嬉しいんだよな』

このような感じで続々と隊士たちが朝香のクッキーを受け取り食べていた。

近藤『お、今年もクッキーが置いてあるぞ!朝香ちゃん毎年大変だろうに、ありがたいな』
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