真選組と私 〜土方十四郎〜

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朝香の傷もだいぶ癒えて通常任務に復帰して暫くが経った頃、重要な仕事が入った。

その仕事とは式典での幕府中枢人物の護衛であった。

その式典の最中に護衛対象に恨みを持った浪人たちが乱入してくる事件が起きた。

しかし朝香が直前に不審な動きをする人物に気づき警戒するように他の隊士らに伝えたお陰で式典が中止にはなったが、護衛対象は無事で犯人たちを逮捕し事件は収束した。

そうして朝香たちは屯所に戻ってきて今に至る。

今回無事に任務を終えたはずであったが朝香は何やら浮かない顔をしていた。近藤が『よく異変に気づいたな。よくやった。』と声を掛けてもどこか上の空で歯切れの悪い返事しか返ってこなかった。
そんな様子の朝香は疲れた身体を癒そうと風呂へ向かった。

「はぁ〜、気持ちいい…」

湯船に浸かって今日の出来事を振り返った。

「アイツ本当嫌な奴だったな…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

護衛対象『ったく、鬱陶しい!厠にも自由に行けないのか!』

近藤『申し訳ございません。万が一があっては困りますから。』

『ったく、こんな芋侍に護衛など頼んだ覚えはない!』

総悟『近藤さん、何なんですかアイツ…俺が殺ってもいいですかィ?』

『そんなこと言うな総悟。これも仕事だ。』

『オレァこんなクソみてぇな奴を護るために真選組になった訳じゃねェですぜ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

この様な感じだったのだ。他にも散々侮辱されたが、近藤さんは決して怒らず冷静だったので私たちも黙っているしかなかったのだ。

正直私もアイツにはムカついたし総悟の言っていたことに同意する。

「(あんな奴護るに値しないよ…)」

だからか今日は本当に思い通りに身体が動いた。
護衛対象の奴のことなどどうでも良かったからだ。
自分の思うままに目の前の敵を斬ることだけに集中出来たのだ。
しかしそれが朝香を浮かない顔にさせている原因であった。

「(やっぱり、誰を護りながら闘うって大変なんだなぁ)」

あの日女の子を護りながら闘った時についた腕の傷痕を指でなぞりながら朝香は自分の未熟さを思い知る。

「もっと私頑張らなきゃ!」

そう言って自分の頬をペシッと叩き気持ちを切り替えて湯船から出たその時…

ガラガラッ…ペタペタ…

『「っ!!!!!!」』
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