真選組と私 〜土方十四郎〜
□06
1ページ/4ページ
「ザキ〜、私なんだか甘い物が食べたいなぁ?」
上目遣いで山崎に言う朝香。
『もー朝香さん勘弁してくださいよー』
「あれ〜私、誰かさんの代わりに仕事手伝ってあげたのにな〜?」
『あの時は本当にすみませんでした!感謝してます!』
「だったら甘い物、寄越しなさい!」
『じゃあコレで我慢してください。俺のあんぱんです。』
「え〜私あんぱんじゃなくてマリトッツォがいい!」
『もう、わがまま言わないでくださいよ〜』
「やだ!買ってきて!」
『はぁ…わかりましたよ』
なぜ山崎がこんなことになっているかと言うと…
遡ること数週間前。
かぶき町の地下に違法な賭博場があり、そこが過激派攘夷浪士たちの拠点になっているという噂があった。
そこで捜査を進めたところ大規模な爆破テロを計画しているという情報を入手した。
そのためテロを阻止し、組織を壊滅させる為に山崎が潜入捜査をすることになった。
山崎は賭博場の店員として潜入し順調に情報を入手し、ついにテロが実行される日がわかり、その前日に組織のトップを含めた最終確認を行うために集まることも判明した。
真選組もその日に突入することが決まり皆それに合わせて調整していた。
しかし問題が起きたのは予定の一週間前。
…山崎がインフルエンザになったのだ。
山崎『ほんっとにすみません!!こんな大事な時に俺…ほんっとすんませんしたァァァァ!』
土方に電話で全力謝罪する山崎。
土方『インフルは仕方ねェだろ。ゆっくり休め。』
『いや、でもどうするんですか?流石に俺がいない中での突入は無理がありますよね?』
『あぁ…お前が無理ってことは、アイツに頼むしかねぇな』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『…というわけで朝香、お前が代わりに潜入してほしい。』
「…なるほど、それは全然大丈夫です。ザキの体調は大丈夫そうでしたか?」
『…熱がやっぱ酷ェみたいだな。インフルだから。って人の心配してる場合じゃねェだろ』
「それもそうですね。でも大丈夫ですよ。潜入捜査初めてじゃないですし。」
そう。朝香は副長補佐の仕事の一つとして男の山崎より女である彼女の方が潜入先に馴染める場合は山崎の代わりに潜入捜査を行うことが何度かあった。
『初めてじゃないとはいえ今回は急だし、組織も大掛かりな計画の直前で緊張してるだろうから、気をつけろよ。』
「はい、もちろんです。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜