真選組と私 〜土方十四郎〜
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というわけで朝香が山崎の代わりに潜入することになった。
幸い山崎の監察レポートのお陰で情報はある程度入手しているが、問題は店員として採用してもらえるかどうかである。このタイミングでの採用はリスクがあるし、不採用となれば真選組の計画は頓挫してしまう。責任は重大であった。
「(違法な賭博場で働く女の子ってどんな感じかなぁ…)」
そんなことを考えながら町を歩いていると誰かに声を掛けられた。
『あら?朝香ちゃんじゃない?見回り中?』
「あ!お妙さん!…そうだ!ねぇ、お妙さん今お時間ありますか?」
『時間ならあるけど…どうしたの?』
「私に夜のお店で働く女の子のメイクとかを教えてください!」
『え??急にどうしたの?』
話すと長くなるので近くのカフェに入った。
「あまり詳しいことは話せないんですが、仕事で夜のお店で働いている様なキラキラした見た目の女の子になる必要があって…お妙さんはかぶき町ナンバー1キャバ嬢だからメイクとか服装に詳しいと思って…」
『そうねぇ、確かに私はかぶき町ナンバー1キャバ嬢だけど、ほら私って元から美しいじゃない?濃いメイクとかしないのよ…』
「確かに…お妙さんはナチュラルな美人ですもんね…」
お妙の冗談?を真っ直ぐ受け止める朝香。
『でもね、朝香ちゃんのためですもの。私の人脈でぴったりな人を紹介してあげる。』
「本当ですか?!ありがとうございます!」
こうしてお妙とお妙のキャバ嬢仲間からメイク・着物・ヘアを教わった。
『よしっ!これで完璧よ!』
鏡を見て朝香は驚いた。
「すごい…私じゃないみたい!」
いつも殆どすっぴんの朝香が、濃いめのブラウンアイシャドウに綺麗にカールされたまつ毛と暗めの赤リップ。着物は流行りのミニ丈に髪はくるくると巻かれている。
『うん、いつもの朝香ちゃんの方が自然で可愛いけど、今の朝香ちゃんも色っぽくて素敵よ!』
「これなら上手くいきそうです!ありがとうございます!」
二人に深くお礼をし、屯所へ戻っていった。
そしていつも通り屯所に入ろうとした瞬間
隊士『すみません。何か真選組に御用ですか?』
二人の隊士に入口で止められたのだ。
「え、私朝香だけど」
『『ええええ???…た、確かに声が朝香さんだ…』』