†CATS FF†
□秘密
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気持ち良い風が抜ける小高い丘。柔らかい日陰を作る大きな木の下でマンカストラップは丸くなって昼寝をしていた。
昨夜、何日かぶりで帰ってきたスキンブルシャンクスの家にミストフェリーズと二人でシラバブは遊びに行っている。
疲れていないはずもないのに、気のいい鉄道猫は泊まりの用意をしておいでと彼らを喜ばせた。
そしてマンカストラップに笑顔で告げた。
たまにはゆっくりしないと。
僕も付いてるし心配いらないよ
そうミストフェリーズにも背中を押され、その好意に甘えることにしたのだ。
昼の見回りを終え、少し遠回りをしてお気に入りの丘に来ると、知らず知らずのうちに寝入ってしまっていた。
誰かが優しく頭を撫でていることに気が付いてはいたものの、なかなか目を開けることは出来なかった。
あたたかい日差し、気持ち良い風、微睡むのにはもってこいの木陰。
そして誰かの優しい手。これは…この手は。
そしてこの甘く香る匂いは。
ようやく目を開けると、ボンバルリーナの顔を下から見上げる格好になっていた。
膝まくらまでされていたようだ。
す、すまない!!
すかさず起き上がり詫びた。
何が何だかまるで分かっていない様子なのに、すぐに謝る彼にボンバルリーナは可笑しくなってクスリと笑った。
寝ているあなたを見つけてね、イタズラしてやろうってそばまで来たの。でも、あんまり気持ち良さそうにしているからイタズラは止めたわ。
マンカストラップは、伺うようにボンバルリーナの話を聞いている。
耳の辺り毛に寝癖がついている。
ボンバルリーナはそれに手を伸ばし整えながら話を続けた
疲れているのね、マンカス。
そう思ったらたまらなくなった。
少し息苦しくなったくらいよ。
そして今の私に出来ることを考えて、あなたの頭をそっと持ち上げて私の膝に乗せたの。
おれは…起きられなくて……
いいの。
起きてほしくなんかなかったもの。
リーナ、おれは。
…おれはそうしてくれているのがお前だと分かっていたような気がする。
だから…おれは…きっと…
マンカス。
秘密よ。
ボンバルリーナは彼の言葉をさえぎり口元で人差し指を立てた。
え…?
今日のこれは二人の秘密。
…なぜ?
マンカスと、秘密持ちたいの。
昼には似合わないボンバルリーナの妖艶な笑顔に、本当の秘密は自分の今のこの気持ちだと言えずにマンカストラップは俯いた。
じゃぁ次は私ね。
ボンバルリーナがマンカストラップの膝の上に頭を乗せて目を閉じる。
そして甘えるように彼の腰に手を回す。
マンカストラップは何も言わず優しく優しく彼女の頭を撫でる。
ボンバルリーナの喉が鳴り彼は微笑む。
慈しみあう二人の身体をまた、気持ちの良い風が通り抜けていった。