お題
□日常シーン10題 １〜８
1ﾍﾟｰｼﾞ/8ﾍﾟｰｼﾞ
☆ 風の強い日
「きゃっ！いやぁんっ」
ヒラヒラの大きな花柄のスカートが風にはためき、マリリン・モンローのように手でおさえる姿。
かわいいかわいい赤毛の女の子。
「……見えてるわよ、トランクス」
「あっ、やべっ」
まったく……。
やっぱり女モノの下着は履きたくないのね。
商売なんだから履いててほしいものだけど……こればっかりは、ね。
そう。
かわいいかわいい赤毛の女の子……らんまちゃん。
今日は私のために働いてもらうわよ。
「おい、なびき」
「あら、なあに？」
「なあに？じゃねーよっ！なんでこんな真冬に肩出して写真なんてとらなきゃなんねーんだよっ！？」
「仕方ないじゃない。夏に使えそうな写真がなかったんだから」
「じゃー諦めろっ！」
「いいわよ？じゃあ諦めようかしら？」
「ぐっ…………」
ふふん。わかってるのよ、らんまちゃん。
私には逆らえないわよね？
でも……。
「いいじゃない。儲けは７:３よ」
「……人を商売道具にしやがって……」
「仕方ないじゃない、売れるんだものっ！」
そうよ、今回のはかなり高額になるわ。
なんたって……。
特製らんまちゃんカレンダー！！
月毎に写真を載せるのに、どうしても８月がないのよねぇ。
今年の夏のは良いアングルの写真がたくさん撮れたから、全部九能ちゃんに売っちゃったのよ。
データはあるけど、すでに売りさばいたものじゃ価値が落ちるしね。
「ほらほら、ボーっとしてないで！風に合わせてモンローよっ！」
「はぁ……んだよ、そりゃ……」
あら、やばいわね。
テンション落ちてきちゃったわ……。
「らんまちゃーん。ほんとにやめとく？」
「え、やめていいのか！？」
ぱっと明るくなる顔。
でも、なびき様がそう簡単に諦めると思ってもらっちゃ困るのよね？
「いいわよぉ。代わりにあかねのあの写真を使うだけだから」
「…………っ！きたねー手、使いやがって！」
「いいじゃない、あかねのあの写真、すごーく評判いいと思うのよね」
「おめーは家族愛ってもんがないのかっ！」
「あらーらんまちゃんに言われたくないわよ？家族愛があるからこそ！あかねの可愛い顔が撮れるんじゃないの。あ、もちろんらんまちゃんも可愛く撮れるのよ？だって未来の義弟なんだしね」
「なっ…………何言ってやがんだっ！」
さらっと言った私のセリフに、予想通りの赤面を見せてくれるらんまちゃん。
「あかねのあの写真、とっても可愛い笑顔だったでしょ？」
「知るかっ。大体、隠し撮りじゃねーか！」
「そりゃそうよ、あんな笑顔なかなかしないもの。乱馬くんと話してるときしか見せない笑顔なんだから、撮るの結構大変なのよ？」
「え……そ、そうなのか……？」
よしっ、もう一押し！
「どうする？あかねの写真にしておく？」
「……しっ、しょーがねーなっ。俺が身代わりになってやるよっ」
かかった！
ふふん。チョロいわ、らんまちゃん！！
あとは……。
７:３を８:２にする方法を考えようかしら？
らんまちゃんのモンロー写真を撮りながら私がそんなことを考えているなんて、らんまちゃんは思いもしないんでしょうね？
私の商売はこれからなのよ。
未来の義姉のために、しっかり働いてちょうだいね♪
お題は確かに恋だった様よりいただきました。