キリリク

□2人の関係
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【R side】


ったく、裁縫で手を刺した翌日に円盤で怪我かよ?
……俺、情けねえな……。
呪泉洞のときにあかねを守るって決めたのに、結局怪我させちまった……。

慌てふためくおじさんは“治るまで俺がちゃんと見てるから”って言ったらあっさり大人しくなったけど。
あかねがちゃんと明日の学校の準備とか包帯の巻き直しとか出来ているのかが不安で、俺は宿題を理由にあかねの部屋に入った。

「なにやってんだ、おめーは?」
「見ればわかるでしょ、包帯を巻いてるのよ」
「包帯って……どっちかってーと漫画に出てくる骨付き肉……」
「なにか言った!?」

ったく、泣くんじゃないかってくらい必死な顔で巻いてるよ。
そんなに力入れたら巻けるものも巻けないだろうが。

「あーあ、貸せよ」
「自分でやるわよっ」
「早く終わらせねえと、宿題写せないだろうが」
「……それは自分でやりなさいよ……」

ん?今日って宿題あったっけ?
ま、いいや。

「無理すんなって」
「……」
「ほら、手」

ベッドに座るあかねの横に陣取った。
痛みがあるのはわかってるから、力が入らないように気をつけてあかねの手を取る。
柔らかくて触り心地のいいあかねの肌に心臓バクバク躍らせながらも、平静を装ってぐるぐるに巻かれた包帯を取る。

……と、あかねの身が寄せられた……あったかい……。

って、寝てんじゃねえか!
通りであったかいはずだよっ。

ん?ちょっと待て待て!?
ベッドの上!
2人きり!
で、寝てるってどうなんだよ!?
俺、男の子なんですけど!?

……俺、ほんと男として見られてねえよな……。

あ、そうだ!ここで手を出せば男として意識されるんじゃねえの!?
上手くいけばそのまま最後まで……っ!!

……いやいや、落ち着けよ俺。
あかねは怪我してんだって。
……ここで手を出したら犯罪だろ……。

ったく、しゃーねーな。
少しは俺を男として意識してくれよ、っと。

寄りかかるあかねの頭をゆっくりと俺の脚に乗せた。
あとは起こさないように包帯を巻いて、と……。







「ん……?」
「あ、悪りぃ、起こしたか?」
「……?」

雑誌を取ろうと手を伸ばしたら、どうも足までが動いてしまったらしい。
ぽやっとした顔であたりを見渡すあかね。

……寝起き、かわいいな……。

「え!?」

お、覚醒したか?

「あ、あたし、寝てた?」
「おーっ、重かったぜ」
「ご、ごめん……」

慌てて体を持ち上げる。
重いなんて、そんなわけねえのによ。
なんでここで“軽いもんだぜベイベ!”とか言えねえんだ、俺は……。

あかねが自分の手に目をやった。
上手いもんだろ?
手当てなら慣れてるからな。

「ありがと……」
「しょーがねえからな。明日から俺がやってやるよ」
「う……」

おーおー、悔しそうな顔しちゃって。
まったく、すぐにムキになるんだもんなあ……なんにでも必死になれるからすげえと思う。

時計を見ると既に日が変わっている。
ってことは俺、2時間以上も膝枕してたのか!?

そうか、2時間以上も同じ体勢をしてたんだな。
あかねのぬくもりを感じてボーっとしてたから気が付かなかったけど、脚が少し痺れてるわけだ……。

「じゃ、おれ寝るわ」
「え!?」

痺れてるなんてあかねに悟られたら男としてダメだからな!
ここはすぐに撤退だ、撤退!

「おやすみー」
「お、おやすみ……」

ま、あかねの柔肌はもうちょっと感じていたかった、けど……。
明日からは俺があかねの湿布換えるんだ、存分に堪能できるだろ。
って、変態っぽいな、俺……。


ん?なにか忘れてるような……。

ああっ!!そういや宿題を言い訳にしてあかねの部屋に入ったんだった!!

あかね、気が付いてるのか!?
いやいやっ、あいつ鈍感だから気が付いてねえよな!?



うん、きっと大丈夫大丈夫…………だよな!?




…終わり…
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