小話

□※過去拍手お礼※
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 ――― 原作の6年後。
 こういう未来もありですか? ―――



猫飯店にて



ガララッ―――


ム「なんじゃ、乱馬ではないか」
乱「客に対していらっしゃいませも言えねえのかよ?」
ム「……タダで食べていく男なんぞ客とは思えないだ」
乱「人聞きの悪いことを言うなっ!たっ、たまに……じゃねぇか……」
ム「そうじゃな、たまに払うことがあるだな」
乱「……」


ガララッ―――


良「こ、ここはどこだ……」
乱「書いてあるだろうが、猫飯店って」
ム「……まったく、おばばとシャンプーがいない日に余計な客ばかり……」
乱「余計はねえだろっ。大体俺はメシ食いに来……って、待てよ?ばあさんとシャンプーがいないのに料理ができるのか?」
ム「……」
良「ま、まさかムースが作るんじゃ……」
ム「……おぬしら……入り口をよく見て入るんじゃ!!」
乱&良「「!!??」」

ガララッ―――

『本日休業也』

乱&良「「……す、すまん……」」
ム「まあいいだ。茶くらいならおらでも入れられる。少し休んでいくといい」
乱「ムース……なんか変わったよな」
ム「そうだか?」
良「シャンプーと結婚したからだろう、乱馬に絡むことがなくなった」
乱「俺かよ……」
ム「シャンプーはおらの嫁じゃっ!」
乱「わかってるって、耳にタコが出来るほど聞いたっちゅーの」
ム「嫁じゃっ!ついにシャンプーがおらの嫁にっ!!」
良「……来るんじゃなかったぜ……」

良牙、涙を流して感動に浸るムースから目を逸らす。

乱「もう結婚して5年だろ?“ついに”も何も、なあ?」
ム「なに言うだっ!乱馬がいつまでもシャンプーに付きまとっておるから、おらたちの結婚が遅れただ!」
乱「付きまとってねえっ!」
良「……ああ、茶がうまい」
ム「おらが入れたんじゃ、マズいわけがない。天道あかねじゃあるまいし」
乱「苗字が違うっ!あいつだって茶くらい入れられるわっ!」
良「……」
ム「ああ、乱馬がシャンプーにフラれてから、ついにシャンプーがおらの……っ」
乱「フラれてもいねえっ!なんなんだ、おめーはっ」
良「そういえば結婚式は女傑族の村でやったんだったな。俺は辿り着けなかったが……」
乱「だからって真夜中にうちに来るなっ。しかも3ヶ月もあとに!」
良「そっ、その節は……す、すまん……」
乱「まったくだっ!」
ム「なにかあっただか?」

熱くなり良牙を上から怒鳴りつける乱馬に、ムースが不思議そうな目を向ける。

乱「なななっ、なんでもねえっ」
ム「なんでもない顔ではないだ……」
良「いやっ、乱馬は悪くないんだっ。俺が迷って乱馬に助けを求めに行ったら……」
乱「くぉら良牙っ!それ以上言うんじゃねえっ!」
ム「真夜中だと言っていたな……ああ!情事中であったか!」
乱「ム……っ、そっ想像すんじゃねえぞ!?」
ム「天道あかねの貧相な体なんぞ想像せんでも、おらにはナイスバデーなシャンプーがおるわっ」
乱「どぁれが貧相だっ!それに早乙女あかねだっちゅーの!」
ム「貧相ではないか!シャンプーの体を見てみい!服の上からでもわかる、あの豊満な胸、くびれた腰……」
乱「あかねだって!くびれた胸、豊満な腰……」
良「……乱馬、自分の言ったことをもう一度よく考えるんだな……」
乱「……………………ああっ!?ちっ違う!!間違ったんだっ!!」
ム「相変わらずバカな男じゃのう……大体シャンプーの良さは外見だけではないぞっ!中身だって良いおなごじゃっ!」
乱「なんだよ!?あかねだって中が良いんだぜ!」
ム「どこがじゃ!?料理も裁縫も出来ん、色気もない」
乱「中っつってんだろうが!あいつの中はよく締まるしあったけえしっ」
ム&良「「ちょ……っ」」
乱「なんだよ!?」
良「乱馬、貴様……なんの話をしている?」
乱「なにって中の話を……」
ム「“ナカ”違いじゃ……」
乱「はあ?」

頭を抱える良牙とムースを見てもなお、自分の間違いに気が付かない乱馬。

乱「なんだよ?中身だろ?あかねのナカはこれでもかってくらいに締まってだな、それで……」



ガララッ!!!!!



あ「言わせないわよっっ!!!」

乱「あかね!?」
良「あかねさんっ!」
ム「なんじゃ、いつから外におった?」
あ「ついさっきよっ。なんの話をしてるのよっ!?なんでそんな話しになってるわけ!?」
乱「だからあかねのナカ……」
あ「中身でしょ!?このスケベ!」
乱「……あ」
あ「あ、じゃないわよっ!教室の時間が近いのに帰ってこないと思ったら、こんな話っ。もうっ!」
乱「うおっ!?やべえっ、もうそんな時間か!?帰るぞ、あかねっ!」
あ「わざわざ迎えに来てあげたんだから感謝しなさいよっ」


どたばたと店を出て行く二人。


ム「結局乱馬のやつは何をしに来たんじゃ……」
良「茶を飲みにだろ?」
ム「わざわざここにか?」
良「まあ、な。俺だってそうだ。休業の紙に気が付いてわざと入ってきたんだからな」
ム「……ま、たまには男だけで話したいことだってあるだな」
良「そういうことだ。じゃあ俺も行くか」
ム「帰るだか?」
良「1ヵ月後が俺達の結婚記念日だからな。今から帰宅しないと間に合わない」

自分で言って苦笑する良牙を呆れた様子で見るムース。

ム「……大変そうじゃのう……」
良「慣れてるさ、俺もあいつも」
ム「そうか、気をつけて行くだ」
良「ああ、じゃあまた来る」
ム「わかっただ」

出て行く良牙。
見送ったムースが、やれやれとテーブルにつく。

ム「……幸せとは、こういうことを言うだな……」
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