present / gift

□恋人の定義
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「好きだ」


あのとき、ナツは顔を真っ赤にさせて言ってくれた。

その時、あたしはとっても嬉しくて。



でも、あれから随分と時は経ってるのに、“恋人らしいこと”をひとつもしていない。

それどころか、目も合わせてくれなくなった。


ねぇ、あの時の言葉は嘘だったの…?


教えてよ、ナツ。
あたし、何かした?


そう聞いても「何でもない」の一点張り。

どうして何も言ってくれないのよ…。


さみしいよ…ナツ……。





「ごめんね、エルザ…あたし明日パス…」
「ルーシィ…」

明日いつものチームで仕事行かないか?とエルザに言われたけど、断った。


一緒に、居たくなかった、ナツと。

ただ怖かったの。



ナツに拒絶されるのが。





あたしは部屋に戻ると、すぐさまベッドにダイブした。

「…っう、ぇん……うぇぇん……」

涙を流せば。
この想いも一緒に流れてくれるだろうか。


戻りたい。

まだ、こんな想いを知らなかったときに。



ーーいつまで泣いていたのだろうかーー



帰ってきたときは、空は青かったのに、今は漆黒の闇。
シーツには大きなシミができていて。

もう、涙は枯れていた。

その時だった。




「ルーシィ…」




聞き慣れた、声。
そして、今一番会いたくない人物の声。

あたしはベッドに顔を埋めたまま、動かない。

すると、足音がだんだん近づいてくる。

「…来ないで」

お願い、来ないで。
今きっとヒドい顔してる。


ナツにこんな顔見られたく、ない。


でも、足音は止まない。
どんどん近づいてくる。

「ルーシィ…「お願い見ないで!」…っ!」


なんでこんなところにいるの?
どうして近づいてくるの?

今までずっとあたしの事、避けてきたじゃない。


「俺のこと、嫌いになったか…?」
「え…?」


何を、言ってるの…?
ナツがあたしのこと嫌いなんでしょ…?



「何言ってんのよ…」


あたしはナツが大好き。


好きすぎて、止まらないのーーー。



「あたしがナツのこと嫌いになるわけないじゃない!」



そう言って、あたしはナツにキスをした。


届いて、届いてよ。

あたしはナツのことが好きなの。


想いを全てぶつけて。



「ルーシィ…やめてくれ…」

 

え……。


やっぱり、ナツは………。



「ルーシィの事…傷つけたくねぇんだ」
「…………は?」


思わず間抜けな声が、出てしまった。


「ナツ? 何言ってるの?」
「あ、いや……」


途端、ナツの頭が紅色に染まる。


「ルーシィを、おそ…おそ…」
「おそ?」



「襲っちまいそうに、なる、から…」
「なっ!?///」



え? え? え?
襲うってアレですか?
あっち系!?

ナツにもそんな思考あったの!?

「俺、ルーシィのこと傷つけるんじゃないかって、怖かった」

ああ、そういうこと。

ナツがあたしのことを避けてた理由、分かったよ。


あたしと一緒にいたら、傷つけるんじゃないかって心配してくれたんだね。


ありがとう…。


「ふふっ、ナツバカね」
「んだよ…///」



ーーナツになら、めちゃくちゃされてもいいよ?ーー



「なっ、それ反則…っ///」 


それから晴れて、あたし達は結ばれました。




ーendー


 


 
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