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□たとえ、私じゃなくても4
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たとえ、私じゃなくても4





どうして私に優しくするの?



あなたにはジュビアがいるでしょう?








お願いだから、私を惨めにしないで。





あの日、グレイはナツと話した後なかなか帰ってこなくて、エルザがイライラしてた。

私も心配してた。
だってグレイは‥‥


仲間、だもんね。


仲間を心配するのは当たり前だもん。

でも、仲間としてじゃない気持ちが混ざってるのは分かる。


(どうして、諦められないんだろう?)


この恋は死んだ。
ハズなのに。

彼とジュビアが一緒に居るところを思い出すと、涙か出てきそうになる。

でも、私は人前で涙は見せない。

もう、みんなの枷になるようなことはしたくない。





そう、決めたんだ。






「遅い! 何をしていたんだ!」

エルザの怒鳴り声が響き渡る。

きっと、グレイが帰ってきたのだろう。
私は安心した。

「悪ぃ、考え事してた。俺、もう寝るわ」

そんな声が聞こえたと思うと、襖がサッと開いた。
襖の奥には、半裸の黒髪の男ーーつまりグレイが立っていた。

「あ、グレイおかえり。遅かったね」

ニコッと笑顔を作り、グレイに言った。
本当は笑う気分じゃなかったけど、こうした方が、普通だと思った。

作り笑い、だとは気づかれてないだろう。

「あぁ、ルーシィ、ただいま」

グレイはどこか焦ったように見えた。
たぶん、気のせいだろう。

隣にいたナツは、グレイの事を気にせずハッピーとじゃれている。

そういえばこの2人は何を話したんだろう。

ま、いっか。明日は早いし、寝よう。

そう思い、私は眠りについた。


 
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