story

□君に託したもの
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ザァァァッ‥‥‥




今日のマグノリアは雨。




ザァァァッ‥‥


でも、私は傘も差さないで、立っている。











「うっ‥‥ふぇっ‥‥ナツぅ‥‥‥」



ナツの‥‥‥







お墓の前で。








ナツはこの前、私を庇って死んだ。



私のせいで。





やっと、気持ちが通じ合って、つき合ったのに。














「ごめんねぇ‥‥ナツぅ‥‥」









ザッ、ザッ、ザッ。



後ろから、足音が聞こえてきた。






「ルーシィ‥‥」



「‥‥グレイ‥‥」



それは、グレイたった。








〜グレイside〜



振り返ったルーシィは、雨でびしょびしょになっていて、涙で目が真っ赤に腫れていた。

「ルーシィ、風邪ひくぞ」

そう言って、俺はルーシィへ傘がかかるように、傘を向けた。


あぁ、本当にナツが好きなんだな。


やっぱり、お前にはかなわねぇよ、ナツ。

「ルーシィ、もう泣くなよ」

俺はルーシィの頭をポンポン撫でる。

「うっ‥‥だってぇっ‥‥」

「ナツがお前の泣き顔をみたい、と思ってると思うか?」

その言葉に反応して、ルーシィの肩がピクンと動いた。

「でもっ! ナツは私のせいで‥‥」


やめろ。


そんなこと言うなよ、ルーシィ。




俺まで、辛くなるだろうが。






「私のせいで、死んじゃったんだよぉ!?」





バサッ




傘が地面に落ちた。



その瞬間、俺はルーシィを抱きしめた。






「もういい、もういいんだ、ルーシィ」

「グレ‥‥イ?」

ルーシィは驚いたような声たった。

「ルーシィ。確かに、大切な人を失う事はすげー悲しい」


俺は、ウルとのことを思い出していた。


デリオラから俺を庇い、“絶対氷結(アイスドシェル)”を使って死んだ、俺の師匠。


「だけど! 生き残った俺達は、死んだヤツの“想い”と“託されたもの”を受け継がなきゃならねぇんだよ‥‥」

今のルーシィは昔の俺に似ている。


大切な人が死んだのは、自分のせい。

そう自分を責めていた頃の俺。


「グレイ‥‥」

「ルーシィ、お前ナツの想いは何だと思う?」



 
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