story

□うたかた花火
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人が溢れるぐらい、賑わっているマグノリアの夏祭り。


俺は1人、歩いている。


去年までは、君ーールーシィが一緒だったのに。



でも、ルーシィはナツといる。





きっと、浴衣を着て下駄も履いているだろう。







俺はつい最近まで、ルーシィと付き合っていた。

でも、俺から別れを告げた。


ルーシィを嫌いになったワケじゃない。

むしろ、今でも好きだ。



でも、ルーシィのナツを見る目が俺を見るそれとは違うことは、ずっとわかっていた。
きっと、俺が告ったときだって、ナツを想っていた。

でも、俺に気をつかったのか、ルーシィは付き合ってくれた。

そう、去年のこの場所で。



ナツ達とはぐれ、探したが見つからず、疲れて道端にルーシィと座った。

『ルーシィ、好きだ』

前触れもなく、言ってしまった一言。

『え?』
『だから‥‥俺と付き合ってくれませんか』
『‥‥うん! 喜んでグレイ!』

ルーシィは顔を赤く染めつつ笑ってくれた。



その後、花火が上がるのと同時に俺達はキスをした。


どちらもファーストキスだった。




ひゅ〜〜…ドカン!!

「おおー!」
「キレーイ」

花火が上がったのだろう。

空を見ると、赤や青や黄色とかの花火が空を照らしている。



去年はあんなに綺麗だったのに。

今は、どんなに鮮やかな色も、全てモノクロに見える。



ルーシィがいないだけでこんなにも違うなんて。


もうこの想いを忘れよう。



こんな悲しい思いをするのなら。

でも、ムリなんだ。


その顔も性格も、声も瞳も。

全てが愛しい。





ーーあの夏に、戻りたい。



 
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