story

□大好きだったよ、さようなら。2
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「死ぬって‥‥どういうことだよ!?」


らしくもなく、声を荒げた俺。
そんな俺を見て、男は少し鼻で笑った。

ムカつく……。
 

「別にこの世から居なくなるワケじゃないさ。死ぬのは‥‥この女の心の方だ」
「心が‥‥死ぬ?」


何を言っているんた、コイツは。
ますますワケが分からない。

記憶を失う?
そもそも何でルーシィなんだ。
お前達は誰なんだ!?

様々な疑問が、頭の中を濁流のように駆け巡る。

半ばパニックになっている俺たちを横目に、男は続ける。


「記憶が、なくなるんだ。全て」
「「「‥‥は?」」」


記憶が‥‥無くなる?
一体どういう事だ?

何で、ルーシィの記憶がなくなるんだよ!


「まぁ、安心しな。あと少しで全て忘れる」


ゲラゲラと汚く笑い話す野郎に、ついに俺の中でスパンとスイッチが入った。

全て忘れる?

そんなのさせるかっ!


そう思った途端、ルーシィが光り出した。

たぶん、記憶を失う魔法をかけられていて、もう少しで完全に記憶を失うのだろう。


ーーもう、無我夢中だった。


無意識にルーシィの元に走り出していて、邪魔をしようとする男を魔法で凍らせて。

気づいたら、胸の中に柔らかい金糸。


「ルーシィ……?」
「…………あたし…………」 
  

良かった……。

とりあえず、無事みたいだ。





だが、その安堵はすぐかき消された。






  
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