トワ

□LOLLIPOP KISS♪
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「ヒロインさん、ただいま!」


両手に荷物を抱えて、買い出しからトワくんが帰ってきた。


「わぁ、すごい荷物だねー!」


私が袋を開き、荷物を片付けようとすると


「僕、ヒロインさんにお土産買ってきたんです!ちょっと目を閉じてみて下さい。」



と、トワくんに言われた。私が目を閉じると、何かをガサガサと開ける音が聞こえる。



「はい、これです。」



トワくんの声と同時に、私の唇に何かが当たった。


目を開けると、それは、トワくんが差し出していた棒付きのキャンディだった。


軽く唇を開くと、キャンディーが滑り込んできて、口の中に甘酸っぱい味が広がる。



「ん!おいひい!ありがとう!」


「ヒロインさんのはイチゴ味ですよ!僕のはパイナップルです。」


トワくんが嬉しそうに笑いながら、黄色いキャンディーを口に運ぶ。


二人でキャンディーを舐めながら荷物を片付けていると


ふと、トワくんがこっちを見ているのに気が付いた。



「トワくん?」


「…ヒロインさんのイチゴ味も美味しいですか?」


「あ、うん。美味しいよ!トワくんも」



食べてみる?と言おうとして、思わず言葉を飲み込んだ。



(私の舐めたキャンディーを食べる?なんて、ちょっとねぇ。)



「ヒロインさん、僕も一口貰って良いですか?」


「いいけど…私、舐めちゃったよ?」


「そんなっ!僕達、恋人同士なのに…そんな事気にしなくていいですよ!」



そう言ったトワくんの顔は真っ赤だった。


恋人同士、と言う単語を口にするだけで真っ赤になってしまうトワくん。



(本当に純粋で可愛いなぁ。)



何だか照れ臭い気持ちで、私はキャンディーをトワくんの方へと差し出した。


すると、トワくんは私の差し出した手をそっと握ると


キャンディーじゃなくて私の唇をペロリと舐めた。



「ヒロインさんの唇…甘いですね。」


「あああ、あの。トワくん!?」


「…もっと…もっと、欲しいです。」



トワくんの唇が私の唇に重なる。


それは、いつもの優しく触れるキスじゃなく、私の唇まで食べちゃいそうな熱い熱いキス。



(トワくんが、こんなキスするなんて…完全に不意討ちだよ!)



身体中が、芯から少しずつ熱を帯びて広がっていく。


心臓が、発火したように熱くてドキドキする。


唇が離れた途端、トワくんがギュッと抱き付いてきた。



「ス、スイマセン。恥ずかしくって…ヒロインさんの顔が見れません…」



私の肩に埋めたトワくんの顔は見えないけれど、きっとその頬は真っ赤に染まっているんだろう。



(私も、きっと真っ赤だ。)



倉庫の中に、私達の食べたキャンディーの甘い香りが漂っている。


甘い香りとトワくんの腕に包まれながら、私の心を掴んで離さないのは


トワくんがくれた、熱くて触れると溶けてしまう…キャンディーのような甘いキス。






end



 






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