ナギ 2
□Sweet happy valentine's day!
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バレンタイン、それは世界中の女の子と男の子がドキドキする日。
チョコレートの行方が気になるのは、最強と名高いシリウス海賊団でも同じようで…
「明後日はバレンタインか。去年のバレンタインは船長のせいで最悪だったんだよなー。」
「えっ?そうなんですか?」
「船長が適当に愛想ばっかり振り撒いてっから、変に期待した女達が船に乗り込んで来てよ!
俺達まで巻き添え食らって大変だったっつーの!」
「ガーッハッハッハ!ハヤテ、俺が山ほどチョコを貰って妬いてんのか?」
「なっ!んな訳無いじゃないっすかっ!」
「お前は毎年チョコの数でもシンに負けてっからなぁ。」
「チョコの数でも、って何すか!!俺は別にバレンタインのチョコの数なんて気にしてねーっすよ!」
相変わらず飄々とした船長に、ハヤテさんがムキになって言い返している。
(ハヤテさん、気にしてるんだ…)
「ところで、」
さっきまで、まるで私達の話なんて興味無さそうに本を読んでいたシンさんが口を開いた。
「これだけ俺達に世話をかけているんだ。チョコレートの1つや2つ当然用意しているんだろうな?」
シンさんが、ニヤリと笑いながら私に視線を投げる。
「もちろんです!気合いを入れて皆さんに手作りしますから!!だから、ナギ。明日の夜は私に厨房貸してね!」
「構わねぇけど…手伝わなくて大丈夫か?」
「これはナギの手を借りたら意味が無いでしょ。大丈夫だよ!」
「そっか、頑張れよ。」
「うん!」
(よーし、上手くいった!)
こうやって言っておけば、一人で厨房でチョコを作ってても不自然じゃないよね。
明後日は、私がシリウスに乗って初めてのバレンタイン。
つまり、私とナギが恋人同士になって初めてのバレンタイン!
私、めっちゃ気合い入ってます!!
「ヒロインちゃんにチョコレートを貰えるなんてバレンタインが楽しみだなぁ。」
「僕もですっ!」
「ありがとうございます!頑張りますんで、楽しみにしてて下さいね!」
「ヒロインがくれるってんなら、今年は他の女からのチョコレートは全部断っちまうか!」
「船長!私のチョコレートの為にそこまでして頂かなくて結構ですからっ!!」
世界中のお宝を手に入れて歩いてるシリウス海賊団にとっては、バレンタインのチョコレートなんていらないのかなって思ったけど
皆こんなにも楽しみにしてくれるんなら良かった。
よし!明日は皆の為、そしてナギとの素敵なバレンタインの為に頑張ろう!!
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「わー!出来たぁ!!」
私の目の前に並んでいるのはトリュフチョコレートが入った小さめの箱が6つと
ナギの為に作ったハートの形のガトーショコラの入った大きな箱が1つ。
ナギと一緒じゃなくて一人で作ったにしては上出来だと思う。
「よし、後はラッピング!」
私は皆のイメージに合わせて選んだ色とりどりのペーパーで次々にチョコレートの入った箱を包んでいった。
「あ、あれ?」
ナギにあげるケーキ用のラッピングペーパーが見当たらない。
(あっ!まさか!!)
皆に配るラッピングに凝ったのは良いけど、そっちに気をとられてナギ用のを忘れてたみたい!
「わーん!私の馬鹿馬鹿ー!」
でも、明日は近くの港に寄港するってシンさんが言ってた。
その時にこっそり買いに行けば間に合うはず!
(良かったー、何とかなりそう。)
私はほっと胸を撫で下ろすと、厨房を片付け出来上がったばかりのチョコレートを抱えて部屋へと戻った。