ナギ 2
□Memories of Rain
1ページ/1ページ
雨音とヒロインの鼻歌が厨房に響く。
ヒロインは雨が降ると決まってこの歌を歌う。
ヒロインが言うには、雨が降ると母親が傘を持って迎えに来てくれるから嬉しい、って意味の歌らしい。
親のいねぇ俺には、そんなあったけぇ思い出がある訳もねぇし、逃亡時代に至っては雨の日の事なんて考えたくもねぇ。
だけど…今、雨って言って真っ先に頭に浮かぶのは、ヒロインが楽し気に歌う声と、少しのん気なあの歌詞。
「ぴっちぴっち ちゃっぷちゃっぷ らんらんら〜ん。」
「ぷっ。」
「ナギさん。今、笑いませんでした?」
「いや、何でもねぇ。」
ま、こうゆうのも悪くねぇな。
『Memories of Rain』
君がそこに居るだけで
どんな景色も温かい色で染まっていく…
end
.