ハヤテ
□晴のち曇 時々嵐
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ヒロインが怒ってる。けど、俺には理由が全然思いつかねー。
(マジかよ…)
目が合っても、睨まれるか直ぐに剃らされるかで、口も聞いてもらえねー。
まぁ、喧嘩はよくある事なんだけど、アイツが隣で笑ってないと調子が狂うっつーか、居心地悪いっつーか…
よし、思い切って理由を聞いてみっか!
*******
「ヒロイン!」
「………」
うっ、無言で睨んでやがる。
「お前、何怒ってんだよ。ちゃんと訳を言えよ!」
「…別に。」
「別にじゃねーだろ!あんま怒ってっとブスになんぞ!」
あー!つい言わなくて良い事まで言っちまったー!!
「…ハヤテが約束破るからでしょ。」
「はぁっ?」
「やっぱり覚えてないんだ。」
約束…約束…俺、ヒロインと約束なんて…
「ああぁぁぁぁー!!お、思い出した…」
前に停泊した港町で、俺のお気に入りの場所に連れて行くって約束してたんだった!
「あの、悪ぃ…つい、忘れてて…」
「全然思い出せないなんて信じられない!ハヤテは私との約束なんて、どうでも良かったんでしょ!」
「や、そーゆー訳じゃねぇよ!」
「もういい!ハヤテなんて大っ嫌い!!」
そう言い捨てるとヒロインは走って行った。例え一時的な感情で言ったんだとしても、ヒロインに嫌いって言われるってのは
(地味にへこむ…)
俺は思わずその場にしゃがみ込んでうなだれた。
*******
夜になったのに、いつまで待ってもヒロインが帰って来ねー。
一体、どこで拗ねてんだか。こんなんじゃ、俺は謝る事も出来ねーじゃん。
「ハヤテ、いる?」
ソウシさんが、俺の部屋に顔を出した。
「ヒロインちゃんを、迎えに来てくれるかな?」
ソウシさんの部屋に行くと、ヒロインとトワがべろんべろんに酔っ払って、ケラケラ笑っていた。
「おい!ヒロイン何やってんだよ!部屋に帰るぞ!」
「イヤ!ハヤテと同じ部屋なんて絶ーっ対イヤ!!」
ヒロインが、ソウシさんに酔ってとろんとした目を向け甘える。
「ソウシさん、今夜はずっと一緒に飲みましょうよー。」
「んー私は良いけど、ハヤテに怒られちゃうよ?」
「ハヤテなんて、もう良いんです!」
ってかお前…何、他の男をそんな目で見つめて甘えてんだよ。
(ぜってー、許さねぇ。)
「ソウシさん、コイツが迷惑かけました。」
「えっ?ちょっ、ちょっと離してよ!」
俺はヒロインを肩に担ぎ上げると、そのまま自分の部屋に連れて帰った。