ナギ 2
□My heart is …
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「ナギ、待って!」
私は廊下を歩いていたナギを呼び止めた。
もし私とシンさんの事を誤解しているんなら
ナギは怒ってるかもしれない。
シンさんとは何も無いんだって、ちゃんとそう言わなくちゃ。
ナギが、ゆっくりと振り返る。
その目は何の感情も映して無かった。
ただ静かに私を見ているだけだった。
ズキンと、胸が痛む。
「えっと…あの…」
誤解を解きたくて追いかけて来たのに
ナギのその瞳を見てると胸が苦しくなって
上手く言葉が出てこなかった。
(どうしよう…私…)
私、ナギを怒らせたんじゃなくて
ナギを傷付けたのかもしれない。
何を言ったら良いのか分からなくなった私は視線をさ迷わせた。
すると、ナギはふっと目を伏せ
そのまま角を曲がって行ってしまった。
(やだ…やだよ…)
何もやましい事なんてして無いのに
ナギに誤解されちゃうなんて
ナギを傷つけちゃうなんて
そんなの絶対に嫌だ。
私は急いでナギを追いかけると、食堂のドアを開けようとしていたナギの背中に後ろから抱き付いた。
「ヒロイン!?」
「私、ナギが好き!ナギだけが好き!私が一緒に居たいのも、くっつきたいのも、触られたいって思うのもナギだけなんだから!」
自分でも、何を言ってるってるのか、何が言いたいのか良く分からなかったけど
溢れてくるこの感情を上手く言葉になんて出来なくて
ただ、そのままナギにぶつけた。
「お前、何をっ!?」
ナギが私の方を振り返った拍子にその手がドアのノブから離れ
ゆっくりとドアが開いていく。
そこには、シンさん以外の皆が席に座っていた。
「えっ、と…皆サン、お揃いで…」
何でー?何でこんな時に限って皆が食堂に揃ってるの!?
(わ、分かった!)
お昼ご飯の時間だ!
だから、さっきナギは私達を呼ぶために航海室まで来たんだ。
「おいおーい、ヒロイン。んな寂しい事言わねぇで、たまには俺の相手もしてくれよ。」
「リュウガ!ヒロインちゃんをからかわないの!」
ニヤニヤと笑う船長をソウシさんが叱っていて
ハヤテさんとトワくんは顔を真っ赤にしてぽかんと口を開けている。
きっと、私の顔はこれでもかってぐらい真っ赤だったと思う。
見上げると、皆から視線を反らしているナギの頬も赤く染まっている。
「おいっ!ちょっと来いっ!」
「わっ!」
ナギが私の腕を掴むと、そのまま凄い勢いで部屋まで連れて行かれてしまった。