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□ひねくれハンター
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「ぐあっ..!」

練習中、グラウンドに声が響く。

「狩屋!お前わざと足を引っ掛けただろ」
「すみませ-ん、いや別にわざとじゃないんですけどね?」

また霧野先輩の綺麗な足に傷を付けてしまった。
本当にわざとじゃないんだ、
わざとやりたくないのにのやっちゃうんだ。

「どうしてこんな事をするんだ!」

エメラルドグリーンの綺麗な瞳は今日も俺を睨む。

「いやだなぁ..そんなの決まってるじゃないですかぁ
その傷跡でずっと俺の事思い出せるでしょう?」

何て事言うんだ俺は

「なっ!!?」

先輩、驚いた顔も可愛いなぁ

その時、俺の心をいつも揺らがせるアイツが来た。


「霧野!大丈夫か!?」
「あぁ..」
「立てるか?おぶってやるから保健室に行くぞ」

そう言って霧野先輩をおぶって保健室に向かうキャプテン。
俺はグラウンドに取り残された。


何でだよ..
どうしてキャプテンの前ではあんな優しい顔すんだよ

俺は拳を強くにぎりしめ練習に戻る。






練習も終わり帰ろうと校門を出た時、前を歩く霧野先輩とキャプテンを見付けた。

また一緒に帰ってんのかよ

楽しそうに歩く二人を見ていて凄く辛いはずなのに、足は自然と二人の後をついていく。

なんで...足がゆうこときかないんだよ

潤んだ目を無理やり前を歩く二人に向けると、ちょうど別れを告げそれぞれの家へ向かって行くところだった。

チャンスだとばかりに俺の足は霧野先輩に近付いてゆく。

「先輩」

俺が呼ぶとピンク色の髪が綺麗になびき振り返る。
「狩屋..!?」

謝ろう、今度こそ謝ろう

「足..どうです?」
「お前がわざと怪我させたんだろ、心配するなんて変なんじゃないのか?」
「...別に心配なんかしてませんよ、どんな状態か興味わいちゃって(ニッ」

ほら..アンタがそんな事言うから
また思ってもないこと言っちまう

「......」
「どうした?」

どこかいつもと違う雰囲気の俺に先輩は声をかける。

「先輩は...キャプテン、いや神童先輩の事が好きなんですよね?」
「なっ!/////」

ほら図星
赤くなっちゃって

「神童先輩も霧野先輩の事好きですよ、よかったですね」
「...狩屋..?」
「.....はい?」
「お前..泣いて..」

ふと自分の頬に触れると濡れる感触。

「あれ..なんで?」

涙を拭えば拭うほど目からボロボロと流れてくる。

「何で止まら..なん..で」
「狩屋..」
「見ないで..くださいよォ」
声が震えてうまく喋れない。

「狩屋、俺は神童の事をそんな風に思ったことはない」
「....え?」
「神童は大切な幼なじみ、ただそれだけなんだ。本当に俺が好きなのは..いつもは意地悪だけど本当は優しい『ひねくれ者』...」
「.....!?///」

それって..?

真っ赤な顔をした俺の身体を優しく包む腕。

「お前だよ、狩屋」

俺は霧野先輩に抱きしめられていた。
俺の涙は止まらない。

「知って...たんですね?俺がほんとは先輩を..」
「あぁ、お前の顔を見れば分かる」
「でも..キャプテンの前と俺とでは態度が..」
「それはッ...////」

先輩は何やら恥ずかしそうにしてから目をそらして口を開く。

「お前と同じ..だ//」
「え..?」
「だ-か-ら-、お前と同じでからかいたくなっちゃうんだよ、好きな人を!」
「へ......//////」

そんな霧野先輩を見ていると、また俺の中の悪い癖が出た。

「プ...ハハハハハ!!」
「なっ何が可笑しい!!」
「先輩?いつ俺が先輩の事を好きだなんて言いました?」
「なっ!!?///」
「クハハッ!お前と同じだとかッ..クク..勘違いにも程がありますよ!」
「だってッ..明らかそんな感じだっただろ!////」

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俺に背中を向ける先輩は今までで一番可愛い。

俺はそんな先輩にとどめを刺す。

「せーんぱい...」
「!!!??////」

ちょっと背が高い先輩の身体を背中から抱きしめた。


「好きじゃありません、大好きなんですよ」
「へっ!!!!?/////」
「あっはは、可愛いなぁ先輩は」
「意地悪...////」



俺のひねくれた性格は等分直りそうにない

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