未来予想図A

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うぅ…最悪だ



あんなこと言ってしまうなんて…




「はぁ…」




自室にて明紀は大きく息を吐いた


机にはノートが広げられていてシャーペンがコロンと転がっている





「はぁ…」




無意識なのか明紀は何度もため息をつく


眉をハの字に曲げて落ち込んでいるようだった





「こんなんじゃ…ダメだ…」





人の悪口言うなんて、最悪だ


いや影で言ってること自体ダメな気がする


自分が言われて嫌なことはしないって決めたのにどうもうまくいかない


ただの偽善者のように悪口を言うのは嫌いだというつもりはない、けど…





「…あれなんだよね、うん…」





性格ブスにはなりたくない





それもある。





もし自分だったら、幾ら影だからって言われるのは嫌だ



まるでひとり浮かれているみたいだから…







「(ただ、自分が傷つくのが嫌なんだよね…結局…)」






良い子にしてれば大丈夫




深入りしなければ何も言われない




笑ってれば誤魔化せる




無関心でいれば、傷つくことはない








いつもそんなことばかり考えている



あぁ、なんて




――――――嫌な人間なんだろう…






「(…はは、病み気到来したっぽい…)」






明紀はそのまま机に倒れこんだ





私は、




わたしは




ワタシは、




あたしは…






―――――一体“誰”なんだろう…





机から顔をのっそり上げた明紀


その瞳には生気を感じられず、光を遮ったような虚ろな瞳をしていた





コンコン




「はい?」



「ボクだけど…」





ノックの音と同時にはっとしたように立ち上がった明紀はいそいそとドアを手にかけて開いた





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