未来予想図A

□未来予想図A-4
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あなたと出会ったのは紀子が死んでしまった後だった


だから私は紀子が言うような子だという事を知らない



『良く笑う子』



『良く食べる子』



『向日葵のような子』



私が知っているのは何処か哀し気な子…


あぁそうそう一つだけ同感したところは



『優しい子』



良く紀子が困っていたのを五年経った今でも覚えてる


優しすぎて優柔不断で事件に巻き込まれそうで怖いと呟いていた





『ごめんね』




たしかにそうだってばね


あなたが居なければミナトもナルトもきっと無事では済まなかった


きっとあなたの事だから私の事で悔やんで、泣いているのかもしれないけれど



(ありがとう)



わたしはあなたに感謝しているのよ


明紀


もしこの体が何不自由なく動いたならあなたに駆け寄って抱きしめてしまいたいのだけれど


今は声を出すことも、動かすことも出来ない



「ミナト…明紀、は…」



「まって、今連れて行くから」



「…ありがとう」



せめて、あなたの隣で生きる限り手を握ってあげたい


良く笑う優しい子はとても寂しがりやだから



(泣かないで…)



大丈夫だから、わたしは怒ってないから



(…責めないで)



強く握れない私の手を微かに動かして握りしめてくれた


そうだ


今度は三人でたっくさんハグしましょう




そして




三人で楽しいお話をしましょう



遠のく意識の中で手の温もりも消えてしまった



(忘れないでね…明紀は、私の大切な親友だから…)



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