未来予想図
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母はその日のうちに実家に帰った
その次の日の朝珍しく波風さんが起きてこなかった
コンコン
「しーん」
新しく設けたミナトの部屋の戸を叩くも返事はなし
ぎぃぃい――…
「波風さん…朝ですよー」
お越しに来たのだがその姿勢は低く、声も小声だ
「遅れちゃいますよ〜波風さん…」
「……ん…」
「あ(起きた?)」
「………スースー」
ガクッ
全く起きる様子がない
思わず肩を落とす
「(…やっぱり、揺すって起こした方が良い、よね?)」
一歩一歩静かに近づく
「なみ…」
ぐわっ
「――えっ…?」
その時世界がぐるりと変わった
な、なななにが…起こっ…!?
「……スースー」
「!!?(ち、ちかっ///)」
は、はやく脱出しなければ…
「……(どうやって…?)」
いきなり布団の中に引っ張られた明紀
抜け出そうにもがっちり手が回されていて不可能
「え、まさか暫くこのまま!?」
だとしたらすぐに死にそうだ、とため息を溢した
スー…
――スー…
「っ///(い、いきが首に…ッ)」
かぁぁあ――…
「(わ、わたし…今、腕の中なんだ…)ボッ///」
自分で意識して一人テンパっている様は滑稽かもしれない
けど、見上げれば彼の寝顔がある
「(キレーな顔立ちだよね…)」
彼のぬくもりが私を包む
それとは別に、彼が触れてる所が脈を打つ
じわじわとソレはまるで心臓のようにどくんと跳ねる
「…………//」
ふと、帰り際に母に言われた言葉を思い出した
「え?なんて?」
「だから、彼ちゃんと捕まえときなさいよ(笑)」
「なっ?!なに言ってんのお母さん!!無理だって」
「え〜」
「そんな目で見ても変わらないからね!!」
「かっこいいじゃない…」
「そ、ソレは認める…」
「なら、良いじゃない!!」
「それとこれは別!!第一、私が誰かを好きになることはないよ…きっと」
「ふーん」
でもね。恋なんて
いつ、どこで、誰と出逢うかなんて
―――わからないものよ?
もう、始まってるかも知れないし
そうじゃないかもしれない
恋は、いってみれば
――――突然変異と同じよ
「……(ないない…)」
私が恋なんて…
――――あるわけない…
「っ」
ぐっと息を飲んだ
明紀は小さく自嘲する
押し潰されゆく想いは奥底に溺れゆくのみ―――…
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