未来予想図

□14
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チッチッ―…



     チッ、チッッ



「0時…いくらなんでも…遅いよね?」



時計の針は12を指していた


ソファに座って明紀はそわそわしている




「どうしたんだろう…」



そっと窓際にってカーテンを開けた





ザァァ―――…



ザァ――





「雨…」




外は土砂降りで、真っ暗


ただただ不安だけが体を支配する




「こんなことなら携帯早めに買っとくべきだった…」



大丈夫だと思ったんだけど…


電話もならないし


遅くなるときはいつもかかってきてたのに…




まさか、何かあったんじゃ…




考えても、考えてもきりがなくどうしたらいいかもわからずソファにうずくまった



ドクン





――ドクン




静かな家に鼓動が響く





「…落ち着かない…」




また立ち上がった


そわそわと部屋の中を歩き回る


落ち着こうと思えば思うほど体の中にもやがかかって行く








「……あ…」







もしかして…





――――帰ったのかな…?




ふと浮かんだその言葉に明紀は立ち止まる







「そういう、ことも…あり得るんだよね…」







来る時も、突然だったし、


帰るのだって突然ってこともありえる…


私ったら…うっかりしてた






――居るのが当たり前になってたから…





「……」



一気に襲われた虚無感



「私ッ」



この部屋に今一人しかいないという事実に




「―――馬鹿だ…」




引っ越し直後に現れた彼


何の考えもなく彼を受け入れて


目の前に好きだった彼が居て


恥ずかしくて、


もどかしくて


嬉しくて




少なくとも私は




――――――幸せだった




「(ソレは…私には大きすぎる、幸福)」



きっと彼は此処に来るはずではなかった



――キモッ


私は嫌われ者だから、



―――俺に席にすわんなよ


――座ったらころす



そんな私のところに彼が来るはずが



――――アイツ、一人だぜ



ない





「(恥ずかしい…)」




少しでも『優越感』に浸っていた自分が




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