未来予想図

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約1日、何も食べないままミナトは目覚めなかった



晃太が帰った後、夜、一人何もかも済ませた明紀はミナトの部屋に寄った


と言っても、隣同士なので大したものではない



「(……来てはみたものの…入る勇気がないなぁ)」



まるでいけないをしているみたいだ



ドアのぶに手を伸ばすもすぐ竦めてしまう



「(私)なにしてんだろ…」



自嘲した笑みが溢れた


誤魔化すように、首にかけていたタオルで乱暴に頭を拭いた



「……」



暫く、考えた末



「行くの…止めよ…」



言い聞かせるかのように呟いて踵を返したときだった


「……っ…」



「?」



声がした


うなされているのだろうか?ふとそれが過った



キィ――…



「(……おじゃましまーす…)」



気が付くとおそるおそるドアを開けていた


歩み寄ってベッドに寄り掛かってみた



「(タオルが落ちてる…それに…)顔色が…」



落ちていたタオルを再びミナトの額に戻す



「っぅ……」



「?」



「………ぃ…」



うわ言のように何か呟いている



悪い夢を見ているのか…心配だった



顔色も悪くて、何だか体も冷えているようで





「―――…」




「!!」



――クシナ…




今度ははっきり聞こえた




「(そう、だよね…)」




寂しくないわけないよね…




ツキン…




「……クシ、ナ…」




ツキン…





彼が発する度に針が刺しているように痛い




「っ……」




さまよっていた彼の手を咄嗟に彼の手を握ってしまった



「(少しだけ…)」



「………っ」



「(少しだけ…こうしてよう…)」




わたしなんかには何もできないだろうけど…




もし、これで彼が落ち着くなら




「(眠りこける前に部屋に戻れば…大丈夫)」




焦る気持ちを無理矢理沈めて願う








この温もりは



あなたの望むものではないけれど…



願わくば



あなたが夢の中であの人に





―――逢えるように…








そして、そう願う自分が



本心でありますように…






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