未来予想図

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「紀子ちゃ〜ん(泣)!!」


「何事!?」



いきなり朝っぱらから訪問してきた明紀に驚く



「あんた、ナル君は!?」


「波風さんとお留守番…だからすぐ帰らなきゃいけないの…」


「で、何があったの?」


「鉄の心臓がほしい」

「もうそれ人じゃないわよ」




紀子は両手を明紀に掴まれて微動だできない





―――…




「はぁ…」



人知れず紀子はため息をついた


もうそこには明紀の姿はない


本当に直ぐ帰ってい行ったからだ




「鈍感、ていうのも大変なのねェ…」




お茶を注ぎながら呟く






「出来れば、応援してあげたいけど…」





それは、あの子が気づかない事には始まらないし…


どちらにせよ、かなり過酷な『恋』になりそうで怖い





『恋』を知っていれば、わかることも多い



けど、知らなければ



それが、『恋』かさえ分からない



ただ、もがき苦しみ



下手をすれば戻れなくなる




「トラウマにならなければいいけど…」




紀子は優雅にお茶を啜った


憂いを帯びた表情で一笑した





「もう、紀子ちゃんてばッ!!真剣に相談したのにッ…」






「それ、“恋”だったりして(笑)」






「私が恋なんてするわけないじゃん!!恋なんて…」





ただでさえ、男の人が苦手なのに



「なるわけ、ないよ…」



まるで自分に言い聞かせるように明紀は呟いていた


何かに呑み込まれそうになった明紀は首をふって家路に急いだ






「み〜つけた」






明紀の影と誰かの影が交わった




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