未来予想図A

□未来予想図A-2
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順調といいっていいのかわからないけれど、事件も起きることなく食堂も居酒屋も回っている


何もないというわけでもないが、揉め事になると晃太くんや紀子ちゃんそれから子供達が助けてくれる



(私よりすごいから自信なくしちゃうけど…)



子供といえど忍というところか


みんな決断力に長けていると思う


やっぱりカカシくんは冷静で対処するから私なんて割って入ることも助太刀することもない



「明紀‼じゃがいも一杯買ってきてくれねぇか‼」



「じゃがいもですか?」



「おーう。レジの中から引いてくれて構わねぇから‼昨日買い忘れてなぁ」



「はーい」



昼は食堂で夜は居酒屋で働いている


親父さんは居酒屋の方はきついからしなくていいと言ってくれたけどバイトとはいえ半年で辞めるのは気が引けるので、続けますとお願いした


居酒屋となるとお酒も入るから、心配らしい




「一杯ってどれくらいかなぁ…持ち帰れるくらいでいいか…(足りなくなったら買いに行けばいいし…)」





それから最近、よく話しかけられる



「今日もこき使われてるね‼」



「おつかいって言ってくださいよー!」



「おつかいって年かい?」



「明紀ちゃんこっちにも寄っといで!新鮮な魚、入ってるよ」



「魚‼ホントですか⁉後で行きますね。先におつかいしないと忘れちゃうので」



「あいよ‼」



最初は緊張したけど、今はとてもありがたい


楽しいし、なんだか木の葉に馴染めてる気がするからホッとする


親父さんが顔が広いお陰でだ



(ありがとう‼親父さん…)



「えっと、じゃがいも…」



親父さんのお手伝い頑張らないと…


八百屋の女将さんに紙袋一杯にじゃがいもをお願いしたらでっかい茶袋に本当に一杯来た


ちょっと視界がよろしくない



「わ、とと…」



女将さんにお礼と会釈をして木の葉の商店街を後にすると人通りが広い大通りにでた


この大通りをまっすぐ行けば帰れる



「おもっ…く、」



行けると思ったが想像以上に重かった


腕もぷるぷると震えだして限界を訴えてきていた


目と鼻の先に到着地点はあるのに進まないのがもどかしい



(運動不足…恨めしや…)



速く着けー早く着けーなんて唱えて居たら



「何やってるんですか?」



「え?」



後ろから声がした



「あれ?カカシくん…どうしたの⁉なんでそんな呆れた顔を⁉」



「元からです」



「あ!分かった。私が考えなしにこんなにじゃがいも持ってるからだ!」



「まぁ…」

「否定してよ‼そこは、もう」



「ソンナコトナイデスヨ」



「遅いって‼」



カカシくんより私の方が大人なはずなのに


哀しいことに毎回こんな感じです…



「明紀さん、じゃがいも落としてましたよ。点々と…」



「うそっ⁉」



「おかげで持ち主にたどり着けました」



「あ、底に穴がっ…⁉いつ?え?」



気づかなかった‼人通り多くて、雑音にじゃがいもが落ちる音が掻き消されたんだ



「そこでビニール貰ったんで半分入れてください」



「手伝ってくれるの?」



「ここまで来たら手伝わない訳にもいかないですし…」



「…」



カカシくん、



私忍者じゃないから読唇術なんでわかんないけど



なんとなく分かるよ、



その瞳は私を信じてないな



(…また落とすと思ってるな…)



そんなことないよ、って言えないのが痛いね



「アリガトウ…ね。カカシくん」



「いえ」



(でも、カカシくん優しいね…半分というか殆ど持ってくれた)




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