のーまるらぶss

□Holy Night
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私はあっという間に天蠍宮に連れて来られた。
私が帰って来る事が分かっていたかのように、テーブルには様々な料理、ワイン、ケーキが並んでいる。

「……あのさ、私、あんたと約束とかしたかい?なんでこんな事してんの??」

「だから、待っていたと言っただろう?約束はしてないがオマエが帰って来るのはオレの所しかない」

「はぁ?なんだいそりゃ、意味が分かんない。勝手に決めないでよ」

「四の五の言わずに座れよ。ハラ減ってないのか?」
「……食べる…」

実際は飛行機の中で何も摂らずに眠っていたのでお腹は空いていた。が、少ししか入らない。

「なんだ。あんまり食わんな。具合いが悪いのか?」

「なんか…飛行機とか乗った後とかお腹空いてても食べられないんだよ。酔ってるわけじゃないのにさ」

「ああ…そういえばそうだな。じゃケーキ食うか?」
「う〜ん。後でいい。ワイン飲む」

「じゃ飲め飲め」

イヤそんなにドバドバ注がれても、酔うじゃないか。

「そういえばこれ…」
私は荷物の中から日本でもらったいい匂いのするキャンドルを取り出した。
「いい匂いだな。コレ。土産か?」

「アテナからのありがたいいただき物だよ。最近そういうのを作るのにハマってるんだってさ」

「作る?キャンドルをか?日本じゃそういうのが流行っているのか?」

「流行ってるのかどうかまでは知らないけどね。なんだか良い気分転換になるんだって」

「へえ」

ミロは10個くらいあるキャンドルを次々とクンクン鼻を鳴らして嗅いでいる。

「ゲッこれ、アフロの宮の匂いがするぞ」

「薔薇の匂いだろ。よくある匂いじゃないか」

「こっちは線香くさいな。シャカの宮の匂いだ」

「そんなバカな」

ほれ、と線香くさいというキャンドルを渡される。
………線香くさい?
そうかな?そう言われれば…でも線香?処女宮なんて匂いを嗅ぐ暇なんてないくらい素早く通り過ぎるし。
くだらない事で真剣に悩んでいる自分にふと気付く。
いつの間にかミロが私をじっと見つめている。
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