カプ要素のないss
□りんご妖怪
2ページ/11ページ
買い物に出かけていたミロが天蠍宮に到着して自室に入った時、アテナ沙織がリビングのソファーで幸せそうにシャイナがむいたりんごをほうばっていたのでミロは仰天した。
「ア、アテナ!何故こんな所に!」
急いで沙織の足元に跪く。
「まぁ。ミロ。おかえりなさい。お邪魔しているわ」
「沙織さーん!りんごもっと食べる?」
シャイナがキッキンから声をかけると沙織は
「ありがとう。もうひとつお願いします♪」
なとど返事していた。
ミロはキッキンへ飛んでいった。
「おい!シャイナ!何故アテナがいらっしゃるのだ?」
「ああ、ミロ。帰ってきたのかい?アテナは天蠍宮のりんごをご所望だよ。アイオロスにもらったのがおいしかったんだってさ」
シャイナは次のりんごをむこうとりんごを洗っている。
アイオロス??
そういえば数日前にアイオロスがわりとたくさんりんごを持って帰ったような?
そのひとつがアテナの口に入ったのか?
シャイナはもうひとつりんごむいてリビングのテーブルの前に置いた。ご丁寧にうさぎりんごにしている。
「はい。沙織さん。でももうお昼だよ。何か作ろうか?」
「ええ、ありがとう、シャイナ。でも私。りんごでおなかいっぱいになってしまいました」
沙織は同年代の少女と比べても少食である。一度にたくさん食べられないのだ。
「おやつにすればよかったね」
シャイナが困ったように呟いた。
「大丈夫です。おやつの時間になればまたりんご食べられますよ」
「おやつにもまたりんご食べるのかい?」
「だってとてもおいしいわ。どうしてこんなにおいしいのかしら?」
そんな様子を言葉なくみていたのは天蠍宮の守護者。
沙織はりんごのおいしさに感動していたようだがやがてソファーから立ち上がった。
「やっぱり!私気になります!」
そう言うと一直線に勝手口を目指して歩きだした。
「おい。シャイナ!アテナは何を気にされているんだ?」
「・・・さぁ?」
二人で顔を見合わせて沙織について勝手口を開けるミロとシャイナ。
沙織はりんごの木の下をじぃーっと見つめキョロキョロ辺りを回していた。
裏庭は日が当たるが木の下はうっすら暗い。
「やはり・・誰かいるわ」
「「えっ??」」
沙織にそう言われてミロはハタと思いついた。
「あ、そういえば・・」
「ミロ。どうかしましたか?」
「いや、その、オレ・・じゃない、私の天蠍宮の侍女は年のいったけっこうな婆さんなんですが・・」
「知っていますよ。以前お会いしましたから(聖なる蠍〜V参照)」
「その婆さんがですね。たまにこのりんごの木の世話をしてくれてるんですが。あの婆さんもともと聖域に仕える巫女の家系だそうです。それが婆さんには何故か巫女の資質がなかったようで聖域の食堂でしばらく働いていたようなんですが」
「はぁ・・」
突然ミロが侍女の話をし始めたので沙織もシャイナも鳩が豆鉄砲を喰らったような顔になってしまった。
「あんた、そんなこと今なんの関係が・・」
「人の話を最後まで聞け。シャイナ。
それでですね。アテナ。まぁ巫女の資質はなかったとは言えあの婆さん霊感はあるようなんです」
「え?霊感?」
「ええ。りんごの木の世話をする度『あそこには小さい女の子がいる』って言ってたんですが、年寄りの世迷い言と思ってオレ、いや私は気にしていなかったんです。そもそもオ、じゃない、私にはぜんぜん見えませんし」
沙織はプッと吹き出した。
「ミロ。あなた『私』って言いにくいんでしょう?いいですよ。公の場じゃないんですから、言いやすいようになさい」
「はぁ、、すみません」
「それにしても、女の子ですか・・」
女の子女の子と呟きながら沙織はりんごの木の下をくまなく見つめる。
「女の子・・?って幽霊かい?」
「さぁな、オレには何も見えんのだ」
ミロもシャイナも聖闘士なので当然視力は良いが何をどうみてもなにも見えない。
そうこうするうちに沙織は奥の方のりんごの木に近寄りアテナの光の小宇宙で照らした。
「かくれんぼがお上手ね。見つけたわ。怖くないから出てらっしゃい」
沙織が言葉をかけるとうすぼんやりとした白いモノが現れやがてそれは小さな女の子の姿をとった。
「「オバケ!!!」」