拍手お礼文再録
□《血の結界》
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アルバフィカとアガシャ
《血の結界》
あなたの身体を流れる、その美しい身体を流れる血が…
霧となり赤い皮膜となって聖域を外界から閉ざす、
それは私たちの日常を闘いから遠ざけようとするあなたの意志で、
赤い霧が、濃くなるたびに、あなたの生命が消えて去ってゆく、なのに小宇宙は限りなく輝いてゆくのを、
私はなす術もなく、ただ見ているしかなかったのです。
「アルバフィカさまぁーーっ!」
あの方はこの世界を守る。
戦士でありその事に迷いなどない。
だけどあんなにも美しい方を孤独にさせた恐ろしい赤い毒の血をもって、あなたは自身で戦いに幕を下ろそうとした。
アルバフィカさま……
それで、よかったのですか?
聖闘士とならなければあなたはきっと誰よりも、温かく愛に満ちた清らかな世界で人々と共に生きていたはずなのに。
毒の血さえなければ、あなたはその優しい心を隠さずとも生きられてきっと誰からも愛されたはずなのに。
私は慟哭した。
あなたの血の結界を見た時アルバフィカさまの運命が途絶えるのを知ってしまったから…。
「いやぁぁぁーっ!アルバフィカさま!」
死なないでください。
私を小雨から守ってあなたがかけてくれたマントの優しさを知っています。
発狂する私に駆け寄る村人達は私を押さえつけました。
『聖闘士さまの戦いにおまえが触れてはいけない』と。
そして戦いが終わった後、血の皮膜が天空に流され強い風に吸い込まれた時、完全にあなたは失われた。
失われた!この世界から!
一度すれ違っただけ。
それだけの縁なのに
私はあなたを強烈に心に焼き付けてしまった。
盲目のままあなたに恋をしてしまったのです。
それはあっけなくあなたの死によって崩れ落ちたのだけど。
あなたの毒の血を吸いとった聖域の土壌は、美しい白い薔薇が咲き、その土に降り注いだ毒の血を吸いとって赤い薔薇に変化する。
死してなお未だあなたは聖域を、世界を、守ろうとする。
神さまお願いです。
せめて私の願いが届きますように。
もしもアルバフィカさまがアテナの聖闘士として生まれ変わったその時は毒の血で愛している友までも遠ざけない運命を辿りますように。
そして私はあなたが命懸けで守ったこの世界で生きていきます。
せめて私にできることは、あなたのような聖闘士さま達が守るに値する世界を造ること。
あなたの毒を吸いとった赤薔薇はやがて枯れはて土壌を浄化する。
浄化を終えた聖域ではきっと強く美しい戦士たちの命が集うのです。
次に産まれる魚座の黄金聖闘士さまは、アルバフィカさまのような毒の血の運命を辿らなければいいのに。
───あなたは哀しすぎた。なのに美しすぎた。あまりにも。
アガシャの祈りは、彼女が知らない未来では叶えられる。
魚座ピスケスのアフロディーテによって。
【END】