のーまるらぶss

□雨の花
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その日は朝からバケツをひっくり返したような大雨だった。


魔鈴は教皇宮に用があり双魚宮から順番に白羊宮に降りて来ていた。
行きも獅子宮を覗いたが、アイオリアの姿はなかった。

そして帰りも見当たらなかった。

だいたい多少の雨くらいで魔鈴は鍛錬を怠ったりはしない。
しかし朝から空はまっくらで絶え間なく稲妻が光っていた。
アテナ沙織からの命令で今日の鍛錬は中止になったのだ。
聖衣は金属で出来ている為いたずらに聖闘士達の命を危険に晒さないようにしようとする配慮だった。

魔鈴という女性は天候に左右されるほどデリケートな感受性の持ち主ではなかったが、朝から夜のように真っ暗い空を見るに付け、なんとなく気が滅入るような気がしないでもなかった。
白羊宮から自分の家に戻る時貴鬼が魔鈴に声をかけた。

「魔鈴さん。ちょっと雨宿りしてったら?」

「いつでも一緒だよ。この雨じゃ」
そう言うと魔鈴は一気に駆け出した。

流石に走ると大きな雨粒が身体に痛い。
途中にある大きな木の下へ入り少し休もうとした。
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