のーまるらぶss
□聖なる蠍の甘い罠T
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雨が上がって聖域の空は青く晴れあがっていた。
強い通り雨は聖域の地面を濡らし水を多く含んだ土は元気な男の子によって勢いよくはね上げられる。
ミロは雨が上がった後の聖域を元気に走りながらはね上げた泥を少しも気にする事なく、走り回っていた。黄金聖闘士の聖衣をいただいているのにまだまだやんちゃで、イタズラ好きなミロ。年長のサガやアイオロスから小言をもらう事も多かったが、その二人ももういない。聖域は少しずつ歪みを見せて変化を続けていた。
ミロが走り回っていると遺跡の支柱に自分よりも小さい子供が腰をかけているのに気がついた。
好奇心旺盛なミロは子供に声をかける為近くに寄った。
「オマエ見たコトないな。聖闘士候補生か?」
まだ小さなあどけなさを残す頬とさくらんぼみたいなくちびるをした子供の瞳がミロを捉えた。
その時ミロは息を呑んだ。
―――キレイな瞳の色をしてる。
その瞳は濃い緑色をしているのに、薄い茶色が混じったような変わった色をしていた。
――こんな瞳の色見た事ない…。
「オマエの瞳の色変わってるな。すごくキレイだ」
子供はその言葉を聞いてサッと目を伏せた。
「母さんが…悪魔の目の色だって…」
声を聞いて女の子だとわかった。
「なんだ。それ?それよりオマエ聖闘士候補生だろ?女なのになんで仮面してないんだ?」
「……私は今ここに着いたばかりだ。連れてきてくれた人にここで待っているように言われて待ってる。聖闘士候補生にはこれからなるんだ。仮面もこれから付けるんだろう」
「来たばかり?どこから来たんだ?」
「…イタリア…私には聖闘士になる力があるんだって」
「へぇ…。女聖闘士はあんまりいないぞ。修行は厳しいだろうががんばれよ」
「うん。それよりあんた誰?あんたも聖闘士候補生なの?」
「違う。オレは黄金聖闘士。蠍座スコーピオンのミロだ」
「ええっあんた聖闘士なの?まだ小さいじゃないか?」
「小さいとかチビに言われたくないし。もうすぐ大きくなるんだ」
「ふ〜ん。なんかあんたあんまり強そうじゃない。女の子みたいだし」
「!!失礼なヤツだな!必殺技おみまいしてやろーかっ?」
女の子の言葉にムカっとしたその時誰かが少女を呼んだ。
「シャイナ」