鬼の本
□ねぇ
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ねぇ、君はいつも僕を抱いて泣くよね。
僕は、君が好きなのに何も出来ないんだ。
腕を回して背中を撫でてやることも出来ない。
君は、首もとに顔をうめて声を圧し殺して泣く。
泣いていいよ。
思う存分泣いて、涙で僕を汚していいよ。
ねぇ、君はいつも僕の手を握って笑ってたよね。
僕は、君の笑顔が大好きだったんだ。
だから沢山笑って。
君が笑えば、僕も笑えんるんだ。
ねぇ、君はいつも僕を殴って怒ってたよね。
心に留めた許せない事を僕に教えてくれてた。
僕は君にどんな事したって怒らないよ。
ねぇ、君はいつも僕に秘密を教えてくれたよね。
僕と君との秘密。
誰も知らない僕と君との秘密。
それが、嬉しかった。