鬼の本
□If I was a good person,I would not lie.
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その昔、悪人と善人が隣り合わせに住んでいた村があった。
悪人は、よく嘘をつき、よく裏切り、よく傷つける。
そんな悪人は、善人を嘲笑う。
「おいおい、善人よ。またお前は人助けか?」
悪人は、善人の家の前で善人が来るのを待っていた。
「そうだよ。人助けは、楽しいんだ。」
「はっバカらしい。人を助けて何になる?偽善者と罵られる事ばかりじゃないか。」
「いやいや、そんなことはない。感謝の言葉もいわれるよ」
悪魔の囁きによくにた言葉を吐こうとも善人は、動揺もしなかった。
そんな善人に飽きた悪人は自分の家に戻っていった。
悪人の家はとても頑丈そうに見えた。
なぜなら、善人が昼間に壊れた箇所を直しているからだった。
かわりに善人の家は今にも崩れそうだった。
なぜなら、悪人が夜中に壊しているからだ。
悪人の畑には沢山の作物が生い茂っていた。
善人の畑には、雑草さえも生えていなかった。
これも、善人の仕業で悪人の仕業だった。
善人は光を好み、悪人は闇を好んだ。
善人は、朝に起きて昼間は街へ、夕方に帰って夜は寝る。
悪人は、夕方に起きて夜は街へ、朝に帰って昼間は寝る。
善人と悪人が出会うのは、朝と夕方。
二人は飽きることなく、まるで儀式のように毎日、悪人は善人をたぶらかし、善人は悪人を宥める。