鬼の本
□歩いて
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歩いていった。
どこまでも長く遠く、目的も分からないまま、ただ歩いていった。
朝がきて、昼がきて、夜がきた。
けれど終着点など、見えなかった。
友人達は皆、僕よりもずっと遠くにいた。
僕と同じように歩いていた。
ふと、僕が進む方向から老人が歩いてきた。
僕とは、逆方向へと進んでいる。
老人はしゃがれた声で「久しいですね」と頭を下げた。
僕は、会ったこともない老人だった。
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