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□憂鬱
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イヴ達と二手に別れて、アタシ達は早く合流するために歩いていた。

…ほんと、嫌になっちゃうわこの空間…。

少し憂鬱になり始めた時、


『…ギャリー』

「?なに?」


不意に、リアンが振り返ってアタシの顔を覗き込む。

ちょ、ちかっ…!


『……ギャリー』

「な、なに…?」


じいいい…と見つめられるので、逸らしたら負けと思い、こちらも見つめる。

な、なんか恥ずかしいわ…こんな見られると。


『…ちょっと聞きたいんだけどさ』

「…?」


なにかしら…。真剣な顔しちゃって。

というか、本気で近いのよ顔が!!

そして、少しの沈黙。

…なにこれ気まずい。

すると、リアンがようやく目線を外して、今度はアタシの頭を見つめた。


『…それって、海草?』

「………は?」


何言ってんのこの子。もう一回言うわ、何言ってんのこの子。

か、海草?アタシの頭が?もしかして、メッシュのこと言ってるのかしら?


「ち、違うわよ!これはメッシュ!オシャレよオシャレ!」

『え、そうなんだ。てっきり海草かと…』

「もう、リアン!」


まさか、そんな真剣な顔で海草とか言われるとは思わなかったわ!身構えて損したわよまったく!

そう言いながら怒ると、リアンはにひゃっと笑って反省ゼロの謝罪をした。

この子…ほんと不思議な子だわ……。


『よしよし、行こう』

「はぁ…」


再び歩き出したリアンの後を、一歩遅れでついていく。

でも、なんでいきなり海草とか言い出したのかしら…。今まで誰にも言われた事ないわよこんなこと。

少し考えて、ある仮説が頭に浮かぶ。


「(…もしかして)」


この子、アタシが憂鬱になり始めたのに気づいて…?

…もしそうだとしたら、


「(なにやってんのかしらね、アタシ…)」


まだ未成年の女の子に、気を使わせるなんて。

ホントは、この子も怖いでしょうに。

なんだか情けなくなって、でもリアンの気遣いに嬉しくなって。


「…リアン」

『んー?』

「ありがとねっ」

『?うん?』



(しっかりしなくちゃ!)(??)




ほんとはこういうの、本編で書きたかったんですけど…どう組み入れようか悩んだ挙句、もう番外編で書けばいいか!と開き直りました。

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