chocalate days 2
□たとえ夏が終わっても
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幸村くんは軽く笑って、それからゆっくり話し始めた。
『俺は試合の時、勝つことだけを考えていた。勝つことが全てで、それ以外のことは何もいらなかったんだ』
勝つことが全て。
負けることは許されない。それが立海の掟。
それはみんながいつも口にしていた言葉だった。
『でも、対戦相手の坊やに気付かされたよ。…テニスは、楽しむものだっていうことをね』
「!」
幸村くんの口調は、とても優しく、穏やかだった。
『そんな単純な気持ちを、俺はいろいろなプレッシャーに紛れて忘れていった。…思い出したんだ。勝つことが嬉しくて、強くなるのが楽しかった、昔の自分を』