野良猫ギターマン

□レッツラゴー!
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「増田じゃないか。何やってるんだ」


部室の扉が開き、福田先生が現れた。
息切れでぜーはー、汗だくだ。
福田先生は、うちのクラスの授業を受け持ってるから、私の名前を覚えられている。


「ブカツデス」

「そうか。ところで、佐波と舟木見なかったか」

「イエ、ミテマセン」

「おかしいな。この辺で姿が消えたんだが」


う…。
私の背筋を冷や汗が伝う。


なぜかというと、お探しの2人はまさにこの部屋の中にいるからだ。
見てないなんて嘘を言ってしまったからには、見つかったら、私まで大変なことになってしまう。


「本当に見てないか」

「ミ…ミテナイデス! ……ところで先生、おでこどうかしたんですか?」


さっきから妙だと思っていた。
福田先生がずっと、出席簿を額にかざすようなポーズをキープしてることを。


「な、何でもない。ああ邪魔したな。遅くなりすぎないように帰るんだぞ」


私が尋ねると、福田先生の顔色があからさまに変わって、そして先生はそそくさと行ってしまった。


静寂が、戻る。


「……ふぃー」

「危機一髪だったね」


私が作業台にしている、新聞部の名残の大きなテーブル。
ガタガタッと椅子が動き、そのテーブルの下からレッツラの2人が這い出てきた。
どちらも、安堵の表情を浮かべている。


シャツを腕まくりして、ネクタイを緩めに締めてる佐波先輩。
ネクタイはせず、シャツの襟元からネックレスを覗かせて、なんかちょっとセクシーな舟木先輩。
崩した着こなしなのに、カッコいいなんて思ってしまうのは、2人がイケメンだからだろうか…。


そう。
レッツラが人気者なのは、そのせいもあるんだ。


佐波先輩は、無邪気で破天荒なガキ大将タイプ。
はっきりした目鼻立ちの、元気で明るい人だ。
それに対して舟木先輩は、大人っぽくてクールな外見。
だけど、意外と天然な感じで、のほほんと優しい雰囲気を持った人だった。


共通しているのは、どっちもイケメンということ。
ゆえに、女子の支持がかなりアツイんだ。

 
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